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URA MAIL MAGAGINE vol.9

「"デンマークの阪大"?!オーフス大学の極意に学ぶ」特集

2014年6月 発行

みなさんはデンマークのオーフス大学をご存知ですか?大学規模、創立年、国内での立ち位置など、大阪大学と類似点がとても多い大学です。

今号は、オーフス大学のResearch Support Office(RSO)のJohn Westensee氏とJakob Dragsdal Sørensen氏さんをお招きして5月に開催した3日間のセミナーのハイライトを特集します。特集テーマとしては地味...と思われるかもしれませんが、私たちは、このセミナーから受けた刺激をぜひお伝えしたいと考えています。みなさんの興味・関心との接点もきっとあると思いますので、どうぞお付き合いください。

■INDEX
  1. 知れば知るほど知りたくなる!オーフス大学ってどんな大学?
  2. オーフス大学RSOの取り組み 、その卓越性に出会う/1日目全体セミナー報告
  3. お金をかけずにすぐ始められる!仕事の質や組織のまとまりを向上させる秘訣とは。/2日目セッションA報告
  4. 研究者に申請書の書き方指南をするためのトレーニング/2日目セッションB報告
  5. 概念の普及から考える「分野融合」/3日目セッションC報告
  6. 「JEUPISTE Horizon 2020情報提供セミナー」参加報告
  7. 高尾正敏URAによる新連載第2回!<URA know how>オープン化・拠点とURA ―教育・研究・先端設備共用―
  8. 平成26年度研究成果の国際的発信支援プログラム:英語論文の投稿支援(学内限定)
  9. 大型教育研究プロジェクト支援室 豊中分室開室。お気軽にご活用ください!
  10. SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に関する相談受付を開始(学内専用)
  11. URA関係イベント情報
    ●第7回科学技術政策セミナー
    ●第4回URAシンポジウム/第6回RA研究会合同大会
  12. 大阪大学ホットトピック
    ●トムソン・ロイターのHighly Cited Researchersに本学から12名が選ばれました
    ●マチカネワニ化石が国の登録記念物に
    ●諭吉も食べた適塾の味を再現
    ●最新の研究の成果リリース
  13. 次号のお知らせ


【1】知れば知るほど知りたくなる!オーフス大学ってどんな大学?

5月26日―28日の3日間に渡り、デンマーク、オーフス大学Research Support Office (以下、RSO)のディレクターJohn Westensee氏(以下、Westensee氏)と外部資金獲得支援チームリーダーのJakob Sørensen氏(以下、Sørensen氏)を大阪大学にお招きし、オーフス大学のURAとその組織の先進事例に学ぶセミナーを開催しました。

◎デンマークオーフス大学Research Supportセミナー ~組織の中でURAを活用するには? URAとしてステップアップするには?~

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緑豊かなオーフス大学(同大学Webサイト

今回は、inspiringでintensiveな3日間のハイライトをご報告する特集号ですが、まずは、オーフス大学についてご紹介します。

オーフス大学RSOと大阪大学URAの出会い

正直なところ、筆者はオーフス大学について昨年まで知識がありませんでした。オーフス大学RSOとの出会いは、昨年6月に開催された英国URA団体の年次大会(ARMA 2013 Conference リンク)のセッションでした。そこで12年前にWestensee氏がたった一人でRSOを立ち上げ、現在30人弱の組織にまで成長させた歩みと現在の取り組みを知りました。RSOが部局同士の、また部局と執行部との連携に欠かせない横糸・縦糸として実際に機能していることや、執行部を支えつつ、研究者を第一に考える姿勢に筆者は感銘を受けました。また、米国のURAオフィスのように長い歴史の末に整備された組織と比べると、オーフス大学のRSOは歴史が浅く現在も進化をし続けているため、阪大にとって身近な例となりうる点、 そして世界大学ランキングや助成金獲得状況においてオーフス大学が上昇中である点に非常に興味を持ちました。その後11月には大阪大学の職員3名とオーフス大学を訪問し、更に詳しく学ぶ機会を設けました(大阪大学URAメルマガvol.3記事参照)。


オーフス大学と大阪大学比較

●以下に大阪大学とオーフス大学の簡単な規模等の比較を示します。

大学名教育研究領域創立年学部生数教員数予算(円換算)
大阪大学人文社会科学及び自然科学1931155243460約1500億円
オーフス大学人文社会科学及び自然科学1928175003900約1150億円

(人数や予算の算出方法は大学により異なるため、上記は参考数とする。大阪大学は2014年5月、オーフス大学は2012年のデータ)

●以下に大阪大学とオーフス大学の簡単な規模等の比較を示します。

大学名QS(国内)THE(国内)ARWU(国内)
大阪大学55(3)144(4)85(3)
オーフス大学91(2)138(2)81(2)

QS: QS World University Rankings ® 2013、THE: The Times Higher Education World University Rankings 2013-2014、ARWU: Academic Ranking of World Universities 2013 
(順位にばらつきが見られるのは、指標がランキングによって異なるため)

オーフス大学と大阪大学は類似点が多く(大学規模、創立年、国内での立ち位置など)、親近感を覚えるのは筆者だけではないでしょう。このように知れば知るほどにオーフス大学とRSOに興味がわいたのでした。


そして3日間がはじまる

今回、幸運にもRSOのお二人が3日間という長時間を我々と過ごしてくださることになり、1日目に全体セミナー、2,3日目にはセミナーを踏まえたディスカッションとトレーニングを行いました。3日間を通じて大切にしたことは、日本とデンマーク、大阪大学とオーフス大学の背景や組織の違い、共通点を把握した上で、オーフス大学の先進事例をできるだけ多くの関係者と共有すること、そして議論しながら研究支援組織や研究支援者自身のステップアップに何が反映できるかを踏み込んで考える場にするということでした。

●デンマークオーフス大学Research Supportセミナー ~組織の中でURAを活用するには? URAとしてステップアップするには?~」



5/26(月)
14:00-17:00
(学外にも公開)
全体セッション
・Overview research management societies internationally
・How Support Office become strategic partner
・日本の大学の現状と大阪大学の取り組み
・質疑応答とディスカッション

17:15-19:00
情報交換会
5/27(火)
13:30-17:00
(学内限定)
セッションA: URAオフィスとURA業務、学内での連携についての議論
セッションB:研究者に申請書の書き方指南をするためのトレーニング
5/28(水)
9:30-12:00
(学内限定)
セッションC:国際的、学際的な活動支援についての議論

初日にセミナーを聞いた後、2,3日目に議論を深めていく流れを設定しました。


(望月麻友美/大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 URAチーム)

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【2】オーフス大学RSOの取り組み、その卓越性に出会う/1日目全体セミナー報告

初日の5月26日(月)午後に開催した全体セミナー「デンマークオーフス大学Research Supportセミナー ~組織の中でURAを活用するには? URAとしてステップアップするには?~」では、「世界のURA組織事情」「日本と大阪大学におけるURA」「オーフス大学の事例」についての情報を共有しました。研究支援業務に関わる方を主として学内外から48名が参加しました。

まずDARMA(The Danish Association for Research Managers and Administrators、デンマークのURA組織)の創立メンバーであり、今年10月からSRA International(The Society of Research Administrators International、米国のURA組)のプレジデントに就任予定のオーフス大学RSOのディレクター・John Westensee氏(以下、Westensee氏)から、海外の研究支援者の団体とその構成などについての説明を受けました。日本ではまだ正式なURAの職能団体は発足していませんが、アメリカには40年以上前からSRA International等の組織があり、ヨーロッパ各国、アフリカ、東アジア地域にもURA団体があります。地域により違いはあっても、共通トピックに関しては積極的に団体単位で協力しているそうです。我々日本版URAも将来は一つの団体としても世界のURAと関わるようになることでしょう。

次に大阪大学の宮田URAが、そもそもなぜURAという専門職が生まれたのかという日本の事情、日本版URAの現状や定着のための活動について説明を行いました。その上で、大阪大学の概要並びにURAチームの現状や取り組みの紹介を行い、現在の課題と今後の展望を紹介しました。

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(左から、オーフス大学のJohn Westensee氏・Jakob Sørensen氏、大阪大学の宮田知幸URA)

最後に、オーフス大学のWestensee氏とJakob Sørensen氏から「The Research Support Office as a strategic partner for long term development 」と題して、オーフス大学の概要、RSOの組織構成や業務、大学のマネジメントに関わるRSOの側面についての説明がありました。ここでは、非常に豊富な内容の中から、その一部を紹介します。

    ・オーフス大学の目指すもの:総合大学として研究に重点を置く。過去5年間で主な世界大学ランキングTOP100入りをほぼ達成したので、2020年までに世界TOP50を目指す。
    ・大学改革について:改革前後の大学内部の比較:特別な危機があったわけではないが、世界の中で存在感を発揮するために、 学科編成等の改革や事務組織改革が10年ほど前に行われた。
    ・RSOの歩み:12年前に1人がプレアワード支援(外部資金獲得支援)から始め、現在27名のスタッフから成る組織に発展。組織は一元化されており、その都度機動的に研究科やプロジェクトを支援する
    ・RSOの各チーム(図参照):ミッション別にいくつかのチームに分かれて業務にあたる。プレアワード支援チームは申請書確認のワンストップサービスを提供し、年間約1,800件の申請書の支援を行う。政策の動向調査や学内助成を実施する戦略チーム、EUのプロジェクトのポストアワード支援チーム(外部資金獲得後支援担当)、学内限定の助成金データーベースなどを管理しているチームもある。


<オーフス大学RSOの体制図>

RSO slide.png

    ・執行部の戦略とRSO、横糸としてのRSOの役割:大学改革に沿い、RSOは執行部が戦略を考える際の相談役を担うようになっていった。
    ・仕事を効率化するために:業務マトリックスを整理し、限られた時間内でRSOチームの能力を最大限に活かす工夫をしている 等。
    ・RSOが発展した成功要因: ユーザー(研究者)を第一に考えるマインド 等。
    ・現在の課題:RSO内部において、あるいは他組織や研究者との徹底的なコミュニケーションが必要。 等。
    ・国内外をけん引する研究力強化:社会的な課題を解決するための融合研究グループ作り 等。

講演を受け、参加者からは、以下のような声が聞かれました。

●RSOやお二人の姿勢、マインドについて
    ・業務の胆を教えてくれるオープンさに感銘を受けた。
    ・必要としている研究者がいるからRSOを設立したのだという熱意を感じ、大変共感した。
●学んだこと
    ・活動力のあるURA自身の動きと組織として整理された業務マトリックス、組織運営のバランス
    ・実務的マターの体系的合理性
    ・大学全体として効果的かつ効率的に動くための方法の1つとして徹底的なコミュニケーションが必要であるという考え方
●印象に残ったこと
    ・大学全体のガバナンス改革と戦略企画の関係性、研究推進だけでなく、大学のガバナンス全体にオーフス大学のRSOチームの貢献があること。

この後の2日間で、オーフス大学の事例をさらに掘り下げて議論を進めました。


(望月麻友美/大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 URAチーム)

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【3】お金をかけずにすぐ始められる!仕事の質や組織のまとまりを向上させる秘訣とは。/2日目セッションA報告

セミナー2日目の5月27日午後は、オーフス大学の取り組みから何を学ぶべきか、議論を深めるセッションを行いました。参加者は、オーフス大学Research Support Office(以下、RSO)のディレクターJohn Westensee氏(以下、Westensee氏)、大阪大学の本部や部局所属の研究支援業務担当者3名、大型教育研究プロジェクト支援室URAチーム5名の計9名でした。

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まずは英語の口慣らしを兼ねて、自己紹介からスタート。名前、所属と担当業務、セミナー初日のWestensee氏らの講演で興味を持った点やこれから議論したいトピックを出し合いながら、このセッションで扱う内容を大まかにしぼり込みました。大半の参加者から、オーフス大学RSOの体制や支援業務、研究者との関係構築、支援人材育成等、その先進性をもっと具体的に知りたいという意見が出された他、取り組みの戦略性やビジョンの共有といった、必要性は分かっていてもなかなか実現が難しい課題も挙がりました。

セッションはそれから3時間半という長丁場になりましたが、終わってみればあっという間で、Westensee氏が2002年にRSOを一人で立ち上げてから12年後の現在、27名のスタッフで展開している業務内容は本当に聞き応えがあり、充実したものでした。だからと言って私たち参加者はただ圧倒されて終わった訳ではありません。大学の置かれている状況やそもそもの文化・制度の違いがあったとしても、自分自身何か新しいチャレンジをしたいという意欲を引き起こしてくれる非常に刺激的なセッションでした。本稿では、特に私たち参加者の心に響いたトピックの1つ、RSOを有効に機能させる秘訣としての「密なコミュニケーションをベースにした仕事の進め方」について紹介します。

RSOは業務担当によって6つのグループに分かれており(前掲のRSO体制図参照)、各グループには2〜7名のスタッフが配置されていますが、その中で敢えてリーダーを決めずに業務を進めているそうです。そこで湧いてくるのが、「上司は何をしているの?」という疑問。RSOのボスのWestensee氏やプレアワード支援チーム(外部資金獲得支援担当)のマネージャーであるJakob Sørensen氏といったシニアスタッフは、それぞれの部下の仕事の仕方について指示を出すことはしません。もちろん、日頃からスタッフが進めている業務について理解した上で、現場のことはスタッフの方がよく分かっているからと信頼し、任せているそうです。Westensee氏の発言で印象的だったのは"Structure is not a solution"、つまり、組織が構造化されていればうまくいくという訳ではなく、スタッフの能力が発揮できるような体制はケースバイケースだということです。

ふむふむと納得する一方、話としては美しいけれど、それで本当に仕事がうまく回るのだろうかという次の疑問が浮かびますが、その鍵を握っているのがOpen & Deep Communicationだそうです。研究支援スタッフをRSOに集中させ、1つの空間で仕事をすることで、お互いが現在進めている業務や手助けが必要なことなどについて、グループ内外で常に情報共有や議論をできる状態が生まれています。また、リーダーという役職が無い、つまり、昇進が無いこともあって、各自の仕事についてふり返り、今後の方向性やワークライフバランス等についてシニアスタッフと話し合うミーティングを毎年1回行い、昇給内容を交渉すると同時に、ベテランになっても働きがいを担保できるよう努めているとのこと。こうしたコミュニケーションはお金がかからないから、簡単にできるよとWestensee氏は語ります。もちろん、RSOが研究者を対象に実際の支援業務を行っていく際にも、研究者のニーズにじっくり耳を傾け、プロセスを通じて対話を交わしながら支援に当たる等、コミュニケーション重視のスタンスは変わりません。RSOスタッフの採用に当たっては、過去の経験よりも、こうしたスタンスにフィットする人柄かどうかを重視して選考が行われます。

ちなみに、Westensee氏いわく、トップダウンで頭ごなしに命令されると正反対のことをするけれど、自分が少しでも意志決定に関与していると感じられれば協力するのがデンマークの国民性なので、組織内でビジョンを共有する秘訣は、構成員のOwnership(当事者意識)と裁量を担保すること。RSOに限らず、オーフス大学の大学改革も、学長の意向だけで進んだ訳ではなく、構成員一人ひとりの声を集めるという丁寧なボトムアップのプロセスを経た結果、現在の組織構造に落ち着いたそうです。

セッションの最後は、大阪大学で自分たちがやっていきたいことを各自が発表して終わりました。同僚や研究者とのコミュニケーションを大事する、過去の業務について職場で振り返る機会を作る、業務で作成する書類をテンプレート化して効率を上げる等、小さいことかもしれませんが、私たち参加者は変化を生み出すことを宣言しました。後日、このメンバーで集まって、その後の経過報告を行う予定です。

業務や組織に対して当事者意識や責任感を持ち、同僚や仕事相手と密にコミュニケーションを取りながら、裁量を認められて仕事をする―考えてみれば当たり前のことかもしれませんが、その重要性に改めて気づくことができたセッションでした。

(川人よし恵/大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 URAチーム)

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【4】研究者に申請書の書き方指南をするためのトレーニング/2日目セッションB報告

本セッションは、「Part1 オーフス大学で実施しているトレーニングプログラム」と「Part2 採択される申請書作成のためのワークショップ」という2つのパートで構成されていました。

sessionB_20140527.jpg こんな資料を使いました(ちら見せ)


Part1 オーフス大学で実施しているトレーニングプログラム

まずPart1では、オーフス大学で実施している申請書作成に関するトレーニングプログラムの説明がありました。

オーフス大学では、「『申請書作成に関する文化』を理解してもらう」「申請書作成能力を高めてもらう(特に若手研究者に対して)」という目的のもと、各種プログラムを提供しています。具体的には、以下のような多彩な内容のプログラムを定期的に実施しています。

●若手研究者向けのトレーニング<定員25名・年間5回開催>

・研究助成事業に初めて申請する研究者を対象
・デンマーク語と英語で実施(留学生にも対応)
・基本的・一般的な事項を中心に伝授

●シニア研究者向けのトレーニング<定員5-10名・年間2回開催>

・参加者全員でディスカッションをして、各々の申請書内容を評価しあう
・研究費を長期的に獲得するための戦略についても検討

●ポスドク向けのワークショップ<定員10-25名・年間6回開催>

・専門分野に特化して開催(例:自然科学分野、人文社会科学分野)
・申請内容を短く、かつ要領よくまとめる練習を行う

●プロジェクトリーダー育成のワークショップ<定員20名>

・(個人レベルではなく)グループレベルでの研究費獲得の戦略について検討
・各種研究助成事業への申請にあたっての情報共有ミーティング<年間5回程度開催>
・各事業への申請に特化した注意事項やQ&Aに焦点を当てている
・助成機関の担当者およびその事業に採択されたことのある研究者などが出席


Part2 採択される申請書作成のためのワークショップ

Part2では、オーフス大学Research Support Officeでプレアワード支援チーム(外部資金獲得支援担当)のマネージャーを務めているJakob Dragsdal Sørensen氏に講師役になっていただき、同大学で行われている若手研究者対象のワークショップを実際に体験しました。

助成事業へ申請した場合、審査員がその中身をじっくり検討する段階に進めない申請書は少なくありません。それは、以下に挙げられるような原因によって本来良い申請書が埋もれてしまうからと考えられます。

~想定される10の原因~

1.研究のアイディアと公募要領の内容が合っていない
2.申請書の構成が正しくない
3.研究の出口や目的が明らかでない
4.研究内容に関する議論が十分になされていない
5.要旨の記載が十分でない
6.プロジェクトの説明や研究計画が明確でない
7.審査の基準を理解していない
8.長すぎるセンテンス・専門用語・略語を多用している
9.公募要領の指示に従っていない
10.第三者に確認してもらったり、推敲したりする時間を取っていない

上記も踏まえ、申請書の作成における留意点として以下について詳細な説明がありました。

・公募要領の記載内容や提示されている様式をよく確認する
・助成事業の目的と審査基準をよく理解し、研究目的・内容を説明する際の参考にする
・研究内容に関して、研究者以外(例えば産業界の人々)とも議論を深める
・専門用語や略語を多用しない
・タイトルおよび要旨は審査員が最初に目を通す"広告媒体"であるため、「プロジェクトの方向性を正確に反映する」「理解しやすい単語を使用する」ことに留意する
・研究内容/方法/計画については、図表を活用してプロジェクトの可視化を図る
・プロジェクトの計画に沿うように予算を立てる
・研究成果が科学技術に及ぼす影響だけではなく、例えば経済・環境・文化・社会・教育・政策などに及ぼす影響についても考慮する
・同僚などからも意見をもらいながら何度も推敲する

さらに「エクササイズ」として、デンマークの助成事業の応募要領と実際に申請された申請書の要旨部分を読み、各自が審査員の立場になって「採択」「不採択」いずれかの評価をし、その理由について参加者同士でディスカッションしました。

本セッションへの参加を通して、申請書作成支援に必要なトレーニングの手法を学ぶことができました。特に、申請に当たって、基本的な注意事項であっても気を付けるべきことを具体的に挙げて確認することや、実際に申請書案を読んで審査員の立場になって評価してみることが重要だと再認識しました。今後、セッション受講により得たことを活かして、申請書類を作成する前に必要なポイントを示したり審査員側になって考えるエクササイズを取り入れたりする、新しい形のワークショップを実現できればと考えています。

(大屋知子/大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 URAチーム)

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【5】概念の普及から考える「分野融合」/セミナー3日目セッションC報告

分野融合は日本に限らず、世界中の大学でホットトピックになっていることは、研究関係者なら誰しも知っているはずです。が、文系出身の筆者にとって分かっているようで分からないことが未だに多いです。なぜなら、分野融合の実例を挙げると、どうしても理・医系が多く、もとから近いまたは依存関係にある分野が多いのでは?との疑問が自然に浮かぶからです。勿論、少し勉強すれば、これは大きいな誤解だと分かります。しかしながら、「分野融合」というのは、研究者(更に厳しく言うと一部の研究者)以外の人から見ると、まだ敷居の高い領域と言えるでしょう。

5月28日のセッションでは、「国際連携プロジェクトのマネジメント」と「分野融合」の2つのテーマで、参加者10人(大型教育研究プロジェクト支援室URAが7名、他部局のURA・教員等が3名)からの質問も交えて、活発な討論が展開されました。ここでは、分野融合に関するオーフス大学の事例の中で、特に筆者の印象に残ったことを紹介します。

オーフス大学のJohn Westensee氏とJakob Dragsdal Sørensen氏は、分野融合の事例として、最先端の研究に拘るのではなく、一般の人に理解されやすいプロジェクトを重点的に紹介してくれました。例えば、欧米ではジャンクフードを好む青少年が数多くいますが、必然的に健康問題も浮上しています。この年齢の心理的特徴を考えると、いくら指導や宣伝をしても問題は解決されません。そこで、同大学の研究者たちは、食品科学と哲学を融合し、新しい研究課題に取り組んでいます。簡単に言いますと、青少年の考え方を変え、自発的に健康的な食生活を送るようにする対処法を研究しているのです。斬新な発想とは言えないかもしれませんが、セッションの参加者全員誰しもが、「なるほど」と分野融合の事例としてすぐに理解できました。オーフス大学では、他にも脳科学と音楽、ナノサイエンスと宗教等、クリエイティブで多彩な分野融合研究が展開されています。これらの研究テーマは、何かしらの社会問題の解決法に直結することが多いため、競争的資金を獲得しやすくなります。そのため、同大学では、融合研究は徐々に人文・社会科学系の研究者の注目も集めているそうです。こういった字面通り「文」と「理」を融合した研究の話題を研究者に提供することによって、新しい発想への刺激や新しい研究パートナー探しのヒントにもなります。

少し話が逸れますが、今年4月のINORMS 2014国際会議で、ブラジルのPUCRS大学から、「分野融合」の概念や内容を普及すべく、教員向けの定例フォーラムだけでなく、大学院生向けにも分野融合の入門コースを開講しているとの事例紹介がありました。また、筆者の出身国である中国には「科学普及」という言葉があり、難しい研究の話を平易に説明し民衆に普及することも、日本と同様、研究と研究支援者の責任の一つと考えられています。ちなみに、同国の2012年の全国の科学普及従事者は195.78万人、科学普及への投資が122億8800万人民元(約2,010億円)に達していると報告されています1。筆者は、これらの動向から、「分野融合」という概念を、研究界にはもちろん、未来を担う学生や一般の人にも紹介・普及することを視野に入れようとすると、上述したオーフス大学の単純明快な事例選びによる方法はとても面白いと感じました。

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オーフス大学のように、人文・社会科学系を含め、もっと幅広く多彩な分野を取り上げ、一般の人にも理解しやすいような分野融合の実例があれば、その重要性と必要性がもっと認識されるようになるではないかとつくづく思います。これから人文・社会科学系の積極的な参与によって、新しい可能性が研究界に広がることを楽しみにしています。

(姚 馨/大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室URAチーム)


参考資料:
1:JST北京事務所 2012年度全国科学普及統計データ発表
http://www.jst.go.jp/crds/dw/contents/140314/14031403CN.html

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【6】「JEUPISTE Horizon 2020情報提供セミナー」参加報告

海外の研究者との国際共同研究を開始するには、研究資金獲得に加えて研究体制に適した枠組みの選択と活用が重要になってきます。その一例として、2014年1月に開始された欧州における研究とイノベーションへの投資計画「Horizon 2020」があります。Horizon 2020に関しては、これまでにも大阪大学URAチームのメンバーが国際会議(Horizons for Social Science and HumanitiesAchieving Impact 2014)に出席し、情報収集に努めてきました。日本においてもセミナーやトレーニングコースによって情報発信されており、筆者は5月29日に神戸大学で開催された「JEUPISTE Horizon 2020情報提供セミナー」に参加してきました。

まず、Horizon 2020の概要紹介がありました。欧州では、1984年より科学技術分野の競争力強化、国際化への対応、欧州研究領域の創出への寄与等を目的としてフレームワークプログラム(FP)の取り組みが始まっています。FP1(1984~87年)からFP7(2007~13年)の間に予算は33億ユーロから505億ユーロ(総額)になり、特にFP7では基礎と実用化段階の中間領域の研究を重点的に助成してきました。Horizon 2020はFP7の後継プログラムで7年間(2014~20年)の方向性を規定しており、全体の予算はFP7と比較して大幅に増額されます(総額800億ユーロ)。産業と学術研究を結びつけることを目標としており、以下の3つを投資の柱としています。第一は「卓越した科学」で、基礎研究・研究者のキャリア・インフラ整備の支援をマリーキュリーアクション*1等により実施します。第二は「産業界のリーダーシップ確保」で、中小企業への支援等を推進します。そして第三は「社会的な課題への取り組み」で、社会的課題を抽出し各課題に対する取り組みがなされます。

また、Horizon 2020の前身であるFP7には日本から約100機関参画したという実績があり、そのうちの一機関であるファイバーテック株式会社からは、ナノテクノロジー技術を活かした国家プロジェクトの事例報告がありました。さらに、人材交流プログラムの事例として神戸大学より報告があり、マリーキュリーアクションの活用による優秀な外国人研究者の受け入れおよび研究業績の大幅な向上についての話がありました。一方、文部科学省研究振興局からは日本の物質・ナノテクノロジー分野の研究開発およびイノベーション戦略についての講演があり、当該分野が日本の科学技術向上において重要な位置を占めていることを再認識しました。Critical Raw Materials Innovation Networkのプロジェクトマネジャーによる基調講演では、物質・ナノ分野における欧州のプロジェクト"Critical Raw Materials Innovation Network"の説明を通じて、同分野における日欧の連携についての理解を深めることができました。

Horizon 2020の公募については、2014~15年は自然科学系から人文・社会科学系に至るまでの幅広い分野を対象に、総額150億ユーロの提案募集が行われています。本プログラムに参加するには、原則、EU加盟国または関連諸国から国籍の異なる3機関からなるコンソーシアムで応募することが条件になります。欧州域外から参加の場合、先進国に対しては原則として欧州からの資金配分は不可であり、日本の場合も日本側が担当する研究部分について自己資金を調達する必要があります。しかし、例えば「ある技術については欧州内では代替できず、域外からの参加が必須である」といった場合には、資金配分される可能性もあります。ナショナル・コンタクト・ポイント(NCP)を通じた欧州委員会による参加者支援も行われており、NCPは日本にも設置されています*2。特に欧州研究者との連携を検討している場合には研究の発展に対して有意義なプログラムとなる可能性があるため、本プログラムへの応募は選択肢の一つになり得ると思われますが、欧州特有の複雑なしくみですので、ご興味をお持ちの場合は、まずはWeb情報等の確認や、NCPへの相談をお勧めします。

(大屋知子/大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 URAチーム)


*1 マリーキュリーアクション:

    研究者のキャリア支援プログラム。博士課程の学生からシニアの研究者までの様々なステージにある研究者に対する支援を実施。個人(フェローシップ)と組織(研究者トレーニング、研究スタッフの交流等)に対する支援に大別される。

*2 日欧産業協力センター(http://www.eu-japan.eu/ja):

    日本初のNCP。また、同センターが共同運営するプロジェクトとしてJEUPISTE(日EUイノベーション・科学・技術協力強化プロジェクト)(http://www.jeupiste.eu/ja)がある。FP7の国際協力促進プログラムの一環として設置されている「科学技術における二極間パートナーシップ強化開発事業」の一つとして採択されており、神戸大学が国内機関で唯一参画している。
【Horizon 2020関連サイト】

○全体構成を紹介
http://ec.europa.eu/programmes/horizon2020/
○参加者に有用な情報を提供
http://ec.europa.eu/research/participants/portal/desktop/en/home.html
○提案募集の詳細
http://ec.europa.eu/research/participants/portal/desktop/en/opportunities/h2020/index.html

【参考資料等】

○Horizon 2020の概要(科学技術振興財団 研究開発戦略センター)
http://www.jst.go.jp/crds/pdf/2013/FU/EU20140221.pdf
○科学技術・イノベーション動向報告~EU編~(科学技術振興財団 研究開発戦略センター)
http://www.jst.go.jp/crds/pdf/2013/OR/CRDS-FY2013-OR-04.pdf
○「JEUPISTE Horizon 2020情報提供セミナー」における発表内容および配布資料
http://www.office.kobe-u.ac.jp/ipiep/materials/JEUPISTE_disseminationseminarKU.pdf

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【7】高尾正敏URAによる新連載第2回!<URA know how>
オープン化・拠点とURA ―教育・研究・先端設備共用―

文科省の政策で拠点化がある。国の政策を誘導するために、資源を集中配分することが行われている。大きく分けて教育・研究・先端設備共用がある。政策担当者、ファンディング機関の意図を十分理解した上で対応する必要がある。拠点である以上、グッドプラクティスあるいはベストプラクティスを目指すことが義務である。本稿ではそれらの制度を利用したい時に参考になるように、「オープン化」「メディアム・サイエンス」をはじめとする拠点制度・仕組みの考え方とノウハウを整理して、URAノウハウ集第2弾:"URA Know How 10 Ⅱ"として示した。

(高尾正敏/大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室 URAチーム)


本文はPDF形式でお読みいただけます。
OU-URA-mailmag-201406-KH10-2.pdf

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【8】平成26年度研究成果の国際的発信支援プログラム:英語論文の投稿支援(学内限定)

本学が平成25年8月に実施機関として採択された文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として、研究成果の国際的発信力を一層高め、大阪大学の研究力の強化を促進することを目的に、若手研究者・女性研究者を対象とする海外の学術誌への英語論文の投稿支援を実施しています。

学術英文校正業者への利用手続や校正費用の支援とともに、大型教育研究プロジェクト支援室のリサーチ・アドミニストレータ(URA)による個々の研究者に適した、継続的なサポートを行います。また、支援の全過程において、URAによる日本語・英語・中国語・フランス語での相談に対応できます。

◎募集要項及び申請フォームはこちらから(学内のみ)

https://www.icho.osaka-u.ac.jp/imart/osaka-u.portal?im_shortcut=5ib911aqv701f79

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【9】大型教育研究プロジェクト支援室 豊中分室開室。お気軽にご活用ください!

大型教育研究プロジェクト支援室の豊中分室を、6月17日から開室いたしました。お気軽にご活用ください。

□場所:豊中キャンパス 文理融合型研究棟 7階 研究室Ⅵ(711)
□開室日時:当面、原則として平日の9時~17時に、当番制により当室のURAが在室します。
      利用状況により変更することがあります。

□受付内容:
 ・大型のプロジェクトの申請段階における相談
 ・アウトリーチ活動の企画支援や助言等、運営段階における相談
 ・省庁の政策や外部資金の調査・情報提供に関する相談
 ・その他、部局の研究支援活動に関する相談 等

□問合せ先:電話番号 / 内線(豊中)5024
      外線06-6850-5024(7月1日より使用可です。)
      メール / oogataprosien@office.osaka-u.ac.jp

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【10】SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に関する相談受付を開始(学内専用)

SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の公募が順次開始されています。

大型教育研究プロジェクト支援室URAチームにて提案内容等の御相談をお受けします。 応募をお考えの方は、こちらをご覧の上、余裕のある時期(締切2~3週間前を目安)に御一報ください。

◎SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)公募情報一覧

http://www8.cao.go.jp/cstp/gaiyo/sip/koubo/itiran.html

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【11】URA関係イベント情報

●第7回科学技術政策セミナー「大学からみた科学技術政策」

http://www.ura.osaka-u.ac.jp/pressrelease/20140624.html
2014年7月25日(金)15:00-17:00、大阪大学吹田キャンパス
文部科学省出向経験のある職員の方、官僚を経験して研究者に転じた方、研究者で経済産業省へ出向した方の3名をゲストにお招きし、「大学から見た 科学技術政策」について考えます。
事前申込不要


●第4回URAシンポジウム/第6回RA研究会合同大会「URAが大学を変える未来を作る!」

http://mvs.cris.hokudai.ac.jp/ura_sympo/index.html
2014年9月17日(水)・18日(木)、北海道大学
要事前申込(定員500名、先着順)

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【12】大阪大学ホットトピック

トムソン・ロイターのHighly Cited Researchersに本学から12名が選ばれました

マチカネワニ化石が国の登録記念物に

諭吉も食べた適塾の味を再現

●最新の研究の成果リリース

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【13】次号のお知らせ(予告なく変更する可能性があります)

大阪大学が元気な若手研究者支援のために行っている公募事業等について紹介します。


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【企画・編集・配信】
大阪大学経営企画オフィスURA部門(旧 大型教育研究プロジェクト支援室) 川人・岩崎

◎配信停止やご意見・ご感想はこちらまで


info-ura@lserp.osaka-u.ac.jp

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-1 大阪大学産連本部B棟(2階)
http://www.ura.osaka-u.ac.jp/
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2017年8月25日(金) 更新(担当:川人 )