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URA MAIL MAGAZINE

URA MAIL MAGAZINE vol.43

大阪大学URAシステム整備の『これまで』と『これから』、第4弾

2017年4月 発行

3月末の本学における文部科学省URAシステム整備事業終了を受け、引き続き大阪大学URAシステムの検証・展望をしていきます。

今月号のトピックは、リサーチ・ディベロップメントと、異分野交流です。
いずれも執筆担当者の見解を含む内容ですが、それも含めて発信することにより、URAについて皆さんと考えるきっかけにしたいと思います。

競争的資金申請支援(学内向け)や、3月に琉球大学で開催された人社系フォーラムレポート記事のお知らせもあります。

■INDEX
  1. 大阪大学URAシステム整備の「これまで」と「これから」

    〈その6〉研究開発における相対的競争と絶対的競争−天才と凡人の役割分担と人工知能
  2. 〈その7〉大学経営・研究等に関係する情報共有から築く多様な研究人材間のつながり
  3. (学内向け)JST CREST・さきがけ・ACT-I、およびAMED AMED-CREST・PRIME平成29年度研究提案支援について
  4. (学内向け)JSPS 平成29年度 課題設定による先導的人文学・社会科学推進事業
    「領域開拓プログラム」提案に関する個別相談を実施します
  5. (学内向け)JST平成29年度戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)提案
    「人と情報のエコシステム」「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」「研究開発成果実装支援プログラム」に関する個別相談会を実施します
  6. 第3回人文・社会科学系研究推進フォーラムレポート記事公開のお知らせ(琉球大学URAより)
  7. 大阪大学ホットトピック

     ●社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学へ

     ○大阪大学栄誉教授の称号付与式を行いました!

     ○大阪大学ニューズレター2017春号を発行しました

     ○「PROSPECTUS 2017」デザインを刷新して発行!

     ●大阪大学から卒業生のみなさまへ(ご案内)

     ●平成29年度いちょう祭開催(4月30日・5月1日)

     ○最新の研究の成果リリース
  8. 次号のお知らせ

【1】大阪大学URAシステム整備事業の「これまで」と「これから」
〈その6〉研究開発における相対的競争と絶対的競争−天才と凡人の役割分担と人工知能

  以前、URAと目利きの関係について本メルマガで述べたことがある(2014年7月号)。そこでは、目利きの仕事として、オリジナル研究ができる人、出来そうな人を『金(かね)の草鞋を履いて・・・』探し出し、育てあげることが目利きの重要要件であると述べた。オリジナルとは、研究テーマがオリジナルで人類の現在・将来に何らかの役に立ちそうであるという意味である。幾らオリジナリティがあっても社会から賛同を受けないもの、あるいは、害になりそうなものは含まない。

  そういう人材や研究テーマを何処で探し出せば良いのか? 大変難しい。常識的には、人文・社会科学系、理工系、医歯薬学系を問わず、全ての学術分野の中から、ある特別な分野を定めて、そこでの研究トレンド、評判や噂をあちこち聞き回って、手間をかけて探しだすことになる。この探し方は、まず注目されていることや、流行っていることなどと関係なく、特定の学術分野を決めてしまってから、対象となる研究者の母集団を決めることになる。母集団が決まれば、母集団内部の価値判断基準をもとに、推進される研究活動の範囲が決まり、その範囲内での漸進的な学術の進化に結びつき、うまく行けばイノベーションに繋がり、社会に受け入れられて行くことが期待される。つまり、研究者コミュニティ内で研究開発ロードマップが共有されている場合である。必然的に研究者集団を形成する母集団の分布関数の上位中から研究開発従事者が選ばれることになる。ピアレビューが機能し、研究者コミュニティの中で、順当な選抜になる。この選び方は、学術領域が決まっていて、ロードマップが存在するので、わざわざ、研究者コミュニティ外の目利きが活動する必要はない。研究者コミュニティ(集団)に任せばそれでよい。これが相対的競争による研究人材選抜である。ここで研究者コミュニティとは、アカデミアに所属するものに限定するのではなく、研究分野を同じくする企業所属の研究者をも含んだ広い範囲に関するものである。研究者コミュニティがその任を果たしていないようであれば、URAなどが外部の目利きとして活動しなければならないこともあり得る。

  では、絶対的競争とは何か? 不連続な進化を導く有能な卓越人材を見つけ出すことである。上記の研究者集団の中には、ひょっとすると、既存の分布関数上では、上位でないが、不連続な学術発展を起こす可能性がある人が紛れこんでいるかも知れない。あるいは、幾つかの研究者・技術者集団の狭間に潜んでいるかもしれない。もちろん、連続分布関数で位置づけを決められるほど多くいないし、天才もいるかもしれないし、逆にとんでもない食わせ物の可能性もある。分布が離散的なのである。分布関数の横軸座標数値の並べ方(大小関係)が、相対的競争の場合と異なっていると考えてよい。例として、砂漠の砂のなかで、希少かつ高価な砂金の粒を探すようなものである。研究者コミュニティも存在しないし、ましてやロードマップなどはあり得ない状態である。

  既存の研究者コミュニティの評価の対象にならないので、コミュニティ外の誰かが惚れ込んで、明るい所へ引き出して、詳細を調べる必要がある。率としては、研究者100万人にひとり(ppm)、あるいは10万人にひとり程度というところであろうか?絶対的とはそういうことである。一見無駄な作業のように見えるが、不連続な発展を期待する場合はそれくらいの努力が必要であると考える。その引張り出しを担当する誰かをどう選んで来るかが課題である。感覚として、筆者は、それは天才にしかできないことと考えている。凡人には不可能なのである。天才が天才を探すという仕組みが必要である。ノーベル賞受賞者の弟子に、ノーベル賞受賞者が多く輩出するという構図と同じである。天才の「閃きと直感」、時には「好き嫌い」に頼ろうという魂胆である。普通のURAは、凡人だと思われるので、天才を探してきて、その気になって貰い、彼または彼女のアシスタントとして目利き業をサポートすることが望ましい。目利きになって欲しい天才も、離散的人間であり、変人(へんこつ)である可能性が高い。凡人URAは、そういう人と付き合って、その気にさせることを生業(なりわい)とすることになる。一見厄介で、複雑な構図であるが、天才は天才の、凡人は凡人の天与の仕事をしようということである。URAを統括する場合、間違っても天才の振りをすることを凡人に強要してはならない。

  次に、選ばれた人が行った研究の評価に関して考える。相対的競争の場合はピアレビューを駆使して行えばよい。但し、異なる研究者コミュニティ間を比較する必要があるので、クロスチェックや第三者評価を研究者コミュニティに対して行うことが必要である。総括的な評価は、個々の研究テーマの評価よりもコミュニティのアクティビティ、能力について、評価を行うことであり、研究者コミュニティが健全に活動し、発展しているかどうかを判断する材料となる。相対的競争で、若手の優秀層や中核人材が選別され、研究活動を通じて、鍛えられ、さらに成果評価が行われて、次の研究ステージへ進む循環が成立していることが、研究者コミュニティとして成立する条件である。ことばを変えれば、研究者コミュニティとして次代を自前で教育・育成するシステムが整っていてこそ、コミュニティ=ギルドとしての存在価値がある。大学の教育・研究活動の根本である『フンボルトの理念』もそこにある。

  絶対的競争を経て選ばれた研究の場合は、研究成果を凡人が評価をすることは避けて、選んだ天才に任さなければならない。特に研究の中途経過評価については、それを天才に任すほか手段はない。最終結果が形になって目に見えるものであれば、凡人でも評価可能であるが、コンセプト創成を目的とした場合は、多分凡人による評価は不可能で、天才でも評価可能な場合とそうでない場合があり得る。不可能ケースは、評価をペンディングして、時間・時代が解決してくれるのを待つほかない。

  研究開発を実施する中核人材の選抜で、上に述べた相対的競争と絶対的競争を人工知能(AI:Artificial Intelligence)が支援してくれるかという命題があるのかないのか。最近では全てのことを人工知能が解決してくれそうだということになっている。この関連で、そのようになるのかについて妄想を巡らすのも悪くない試みである。相対的競争の場合には、研究者コミュニティとしての、母集団が決まっているので、ディープ・ラーニングさせる場合に、構成する要素を特長づける記述子が見えている可能性が高く、相応しい人の選抜決定に至り易いと想像できる。しかし、完全な記述子のセットを用意できるかどうかは分からない。それでも、不完全でも結果は当たらずといえども遠からずのところに見いだされることが期待される。尤も母集団が定まっていて、記述子が分かっている場合には、わざわざ人工知能の助けを借りなくても、関係者が集まって吟味すれば済むことである。

  人工知能の助けを借りると効果がありそうな場合もある。それは、複数の研究者コミュニティを跨がるところで、相対的競争を実施して、人材選抜をしなければならない場合である。この場合は、母集団毎の性質が異なるので、適当な記述子を選ぶか、とにかく多数の記述子を動員して、事前学習させることで競争結果を得ることができればよい。しかし、今度は人工知能に学習させるデーターが存在し得るかという課題もありそうである。

  最後に、人材選抜の絶対的競争のレフリーを人工知能に代替させることが、できるかどうかである。もし人工知能が、人間を介在させずに、多くの研究者コミュニティの間を走り回って、天才並みの目利きをすることが出来るようになれば、可能性は高くなる。しかし、記述子セットを人間(凡人)が用意している間は、まず不可能と考える。絶対的競争で見えて来て欲しいのは、凡人の用意する記述子で表現できない人を探したいからである。ゆえ、人工知能では、常識を逸脱した発想をもつ人は探しきれないという結論になる。天才の脳構造や知識構造を解剖し、エッセンスを、人工知能に移植することが可能ならば、絶対的競争を見届けることが可能な人工知能が完成するかも知れない。挑戦的課題ではあるが、倫理的な問題も発生してしまうので、良いのか悪いのか分からなくなってしまう。当分は、多少の人工知能の助けを得ながら、実(リアル)天才と実凡人のコラボレーションで目利きをするのが賢明である。それが様々なインフォマティクスの本質と考える。

  視点を変えて、国やシンクタンクの科学技術政策の提言・提案の中で、不連続な発展を期待するというのがある。その手段としての、施策は、様々な国家プロジェクトや、産業界、業界に横串を通したプログラム・プロジェクトが企画され、実行されている。その時不連続発展を標榜しながら、実は、上記のロードマップを信じるなどの、相対的競争の手法で、計画策定されて、推進されている場合が殆どである。絶対的競争手段を取らないので、世の中がびっくり仰天するような、不連続発展に至る確率は殆どゼロである。看板を偽って、漸進的な発展しか望めないのが大半である。漸進でも進化すればそれで良いとする判断もあるが、不連続発展とイノベーションを期待している国民を結果的に、欺くことになってしまう。

  まずは、天才に頼る前に、絶対的競争に耐えうる人材を探すことから始めなければならない。言葉を換えれば、本質的な意味での多様性の確保である。これは、有象無象かも知れないし、玉石混淆状態でもある。その中から、天才がURAと協働し、ファンディングシステムの力を借りるなどをして、本当の『玉』を選抜することになる。URAの立場では『金の草鞋を履いて・・・』になる。もちろん、学内、国内に候補者が見当たらなかった場合には、海外にも目を光らす必要がある。そうなれば、金の草鞋も擦り切れるかも知れない。

  URA制度が大々的に導入が図られてから、5年が過ぎた。仕組みの立上げは終わったと見てもよい。立上げ時は、知恵とエネルギーが必要であるが、今やその業務は定常状態になっていると見なせる。飛行機でも、パイロットの腕とエネルギーを多量消費する離陸・上昇時と、降下・着陸時を除く巡航時はオートパイロットに任せるのが普通である。その方が安全であり、安心であるからである。URA業務も定常(巡航)状態ならば、低エネルギー化され、定型化・マニュアル化も可能になる。URAは主に定型業務と監視業務中心になり、異常時にのみエネルギーを割くことになる。一旦定型化・巡航状態になってしまい、上記の相対的競争による選抜もマニュアル化してしまうと、人工知能の出番になるかもしれない。現在多くの競争的資金の審査が人海戦術に依存しているが、それも、データーベースが充実すれば、第一次選考などの書類を中心の場合には、人工知能が主役になるかも知れない。さらに、URA業務でも、定型化されたものは、人工知能がほとんどの業務をこなすかも知れない。巡航時の飛行機操縦がオートパイロットに任されているのと同じ状況になる。

  では、オートパイロットのような、定常状態などを含む省エネ・省パワーで余った時間に何をすべきか? 有用な知恵を出せるかどうかである。それは、大学全体の運営施策や、国の施策の受け皿となる業務と一線を画した、独自の業務を開発し、実行すべきである。さもないと、「URAって何してるの?」という議論が忽ち起こり、事業仕分けの対象になってしまうからである。一線を画すことが出来れば、独自開発事業は、何でもよいのであるが、URAを中心に教員組織、事務組織を巻き込んで、何らかの独自プロジェクトを起案することが、手っ取り早く望ましい。その中で一番URAらしいのは、絶対的競争を促し、不連続発展を実現してくれそうな人材を探し出し、世間がびっくり仰天し、人類全体の幸福にしてくれそうな研究プロジェクトを起案し、真の意味でのイノベーションを目指すことである。目利きとなる天才を巻き込んで、そのプロジェクトと人材が得られれば、黒子としてのURA冥利につきる。その業務を実施できるのはURA以外に存在しないからである。人工知能でも当分はできないと思われるが、ひょっとすると全知全能に化身して、近未来にできるようになるかも知れない。その時が来ないということを願っておく。

(高尾正敏/元 大阪大学 経営企画オフィスURA部門)
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【2】大阪大学URAシステム整備の「これまで」と「これから」
〈その7〉大学経営・研究等に関係する情報共有から築く多様な研究人材間のつながり

はじめに

本稿は、研究推進・支援についてシステム整備に関与する人々とのネットワーク構築を取り上げたいと思います。例えば、外部資金獲得に関しては望月の原稿(vol.41)に記載されているように「URAの増員や研究推進・産学連携部等との学内連携の強化に伴い」システマティックな支援体制を整えてきました。しかし、システマティックであってもその体制を動かすのは、個々の人間になります。研究にかかわる様々な情報について、各個人が持つ情報の幅を広げる、あるいは関係業務をする人々とのつながりを増やすことで、より研究に関する理解が深まり、システマティックな支援体制を柔軟に動かすことができるのではないかと考えます。今回具体的に紹介するのは、URA整備事業を通して研究に携わるステークホルダーと築いた場の事例です。

大学や研究をめぐる政策等に触れる場

大阪大学経営企画オフィス(旧大型教育研究プロジェクト支援室)では、国の政策動向に関する学びあいの場づくりをこれまで行ってきました。一つ目は、各回のテーマに関心を持った学内外の方々を対象とした「学術政策セミナー」です。平成24年度から「科学技術政策セミナー」として開催していたセミナーを、より幅広い職員の参画を得られるように職員研修の一環として位置づけると同時に、人文・社会科学系研究もセミナーの対象としていることを明確にするために名称を「学術政策セミナー -大学のこれからを考える-」として開催しています。扱うテーマは、「国立大学改革」「大学経営」「科学技術基本計画」「民間助成」「研究力の可視化」等の幅広いテーマになります。

また、研究に特化したものとして、学内の研究者及び研究支援者を対象とした「トップダウン型外部資金勉強会」も開催しました。JSTやAMED等の研究費への申請は、国の目標やプログラム総括の方針などを熟知していることが求められています。トップダウン型事業のプログラム総括経験者との対話を通じてそのような研究費獲得に向けた知見を得る場を設けました。

このような場を設計したのは、多くの研究者は自らの自由な発想に基づき研究計画をする提案には比較的慣れていますが、トップダウン型とよばれる資金配分機関が提供するテーマ設定に沿って研究のアイデアを提示し、解決方策を示す研究費への申請については、不慣れなことが多いと考えられるためです。一方で、事務系職員は日々の業務に追われていて大学経営、研究にかかわる政策等について俯瞰的な視野で考えるための情報を持つ機会がほとんどありません。上記の場には、事務系職員、研究者、URA等と幅広い方々が参加をします。それぞれがもつ視点も知識も様々なので、テーマによって参加者がスクール形式で学ぶ場であったり、交流会を併設したり、質疑時間に参加者が意見をだしやすくなるように一言カードを配布するなど工夫をしながら開催をし、文科省等行政が示す政策に関する基本的知識の共有を意識しています。

「気づき」が得られる創造的な場

また、あたらしい「気づき」を得られる場づくりも行っています。一つは学内の教職員や学生を対象とした「異分野交流会(アカデミックバール)」です。テーマをあえて設定することはせず、異分野異業種の比較的若い方々同士がそれぞれの立場や業務を意識せずに個人として意見交換をすることを目的としています。参加者は、参加の動機として「人脈を広げること」「仕事につながること」を挙げています。はじめはすこし緊張した顔つきも見受けられますが、おいしいごはんとお酒を囲むことで最後にはにこやかな表情で弾んだ声が聞こえ、中締め後も夜遅くなってもなかなか解散にはなりません。参加をした方々からは、「同じ部局の人と業務外ではじめて話ができた」「事務の人と話ができ、とても勉強になった」「知らない分野の話を聞くことができ、とても刺激になった」「見知らぬ人同士なので、声をかける工夫が必要」などの声があります。バールに参加をした後の参加者同士の交流もはじまっています。一部の方々の間では、共同研究に進展したり、授業で話題提供をしてもらったり、具体的な取組がなされています。このような取組と類似の取組はあちらこちらで行われていると思いますが、本企画のユニークな点は、教員と事務系職員や学生がざっくばらんに話をすることができる場であると考えています。バールを継続すると同時に、特定のテーマについて議論を深める場を設定するなど発展させていく予定です。

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異分野交流会(アカデミックバール)の一コマ

別の取組として、メルマガvol.42で川人が紹介したりそな銀行担当者と本学の人社系教員・URAとで開催した「人文・社会科学系研究から考える中小企業の経営課題研究会」があります。これまでの産学連携とは異なる視点から、社会の中の課題に対して人文・社会科学系研究が蓄積する知識を提供するという新たな試みです。

いつもの業務や研究からすこし踏み出すことで、普段は見えなかったこと、気づかなかったことを発見する機会を創ることを意識しています。

俯瞰的な情報や他者とのコミュニケーションはなににつながるのか

最後に、上記で紹介した取組の背景として、筆者が考えていることについてすこしお話をします。以前勤めていた東京の政府系研究助成機関では、日々政策(特に科学技術政策)に触れる機会が多く、業務をする中で科学技術基本計画はどのように成り立つのかなど目の当たりにした経験がありました。しかし、大学に着任をすると東京から離れていることもありますが、政策に触れる機会や政策に関する話を聞く場がとても減りました。筆者の経験上、俯瞰的な情報や知識があると「なぜこの業務があるのか」「なぜこの研究に研究予算が多く配分されるのか」を読み解く力が身につき、自身の置かれている立場をより意識する契機となりました。

研究費に関してももちろん何らかの根拠に基づき、配分されています。研究が、税金を含めてなんらかの資金を受けて推進されている以上、社会の営みの一つと言えます。であれば、社会からの問いかけに対して応える責任も生じます。これまで論文を生産するという科学的価値が説明責任であると考えられてきましたが、平成28年に閣議決定された第五期科学技術基本計画の「第6章 科学技術イノベーションと社会との関係深化」において、「科学技術イノベーションにより、未来の産業創造と社会変革への第一歩を踏み出すとともに、経済・社会的な課題への対応を図るには、多様なステークホルダーとの対話と協働が欠かせない」と指摘されています。個人が獲得する研究資金は少額かもしれません。しかしながらその資金が出資されるためには、様々な政策が動いています。政策や社会の流れの中でどの部分に研究や業務が位置をしているのかということを頭の片隅に入れながら、研究や研究支援業務等に従事することが強く求められるようになってきていると言えます。

更に言うと、教育基本法では、「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする」と記されています。大学経営の視点からも、これまで以上に社会とどのように共創していくのかを深く考えなければならない時期に来ているのだと思います。萌芽的な活動ではありますが、今回紹介した取組を通じて大学が社会からの要請に対して応える一助になると考えています。

(福島杏子/大阪大学 経営企画オフィスURA部門)


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【3】(学内向け)JST CREST・さきがけ・ACT-I、
およびAMED AMED-CREST・PRIME平成29年度研究提案支援について

CREST・さきがけ・ACT-Iおよび、AMED-CREST・PRIMEの平成29年度研究提案募集について、JST、AMEDのホームページにそれぞれ掲載されました。

◎JSTホームページ
http://senryaku.jst.go.jp/teian.html
JSTの募集締切:
 CREST/ 2016年6月6日(火)正午
 さきがけ・ACT-I/ 2016年5月30日(火)正午

◎AMEDホームページ
http://www.amed.go.jp/koubo/010720170310-01.html
AMEDの募集締切:
 AMED-CREST・PRIME/ 2016年5月30日(火)正午


経営企画オフィスは、研究推進・産学連携部と連携し研究提案支援を行っています。(学内限定)
詳しくは以下のURLをご覧ください。

JST CREST・さきがけ・ACT-I 平成29年度研究提案支援について
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/grantsupport/20170419.html
AMED-CREST、PRIME 平成29年度研究提案支援について
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/grantsupport/20170420.html

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【4】(学内向け)JSPS 平成29年度 課題設定による先導的人文学・社会科学推進事業
「領域開拓プログラム」提案に関する個別相談を実施します

本学における上記研究資金プログラムへの応募件数の増加と採択率の向上を目指して、経営企画オフィスURA部門が収集した情報を元に、以下のとおり個別相談を実施します。

今年度公募が行われる「領域開拓プログラム」は、人文学・社会科学 を中心とした異なる学問分野の研究者の参画を得て、新たな研究領域への予想外の飛躍をもたらすような課題の追求や方法論の継続的な改良を目指すものです。

同事業に関心のある、あるいは、提案を予定している大阪大学の研究者の方に、積極的にご活用いただければ幸いです。(学内限定)

https://www.ura.osaka-u.ac.jp/grantsupport/20170424.html

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【5】(学内向け)JST平成29年度戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)提案
「人と情報のエコシステム」「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」「研究開発成果実装支援プログラム」に関する個別相談会を実施します

本学における上記事業への応募件数の増加と採択率の向上を目指して、経営企画オフィスURAが収集した情報を元に、5/16(火)〜5/25(木)に個別相談を実施します。

「社会技術研究開発」とは、社会における具体的問題の解決を通じ、国または社会技術研究開発センター(RISTEX)が定める目標等の達成を図ることで社会の安寧に資することを目的とする、いわゆる"トップダウン型"の競争的資金(委託研究契約)です。学術的成果にとどまらず、実際の社会の課題解決に役立つこと(社会への実装)が求められるほか、人文・社会科学と自然科学との連携や産学官市民の参画、領域・プログラムのマネジメントチームや他の採択プロジェクトとの情報共有といった特徴が挙げられます。

同事業に関心のある、あるいは、提案を予定している大阪大学の研究者の方に、積極的にご活用いただければ幸いです。(学内限定)

https://www.ura.osaka-u.ac.jp/grantsupport/20170425.html


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【6】第3回人文・社会科学系研究推進フォーラムレポート記事公開のお知らせ(琉球大学URAより)

2017年3月3日に琉球大学にて開催された第3回人文・社会科学系研究推進フォーラム「地域と共に新しい"ジンブン"力を創造する人社系研究の展開」の開催報告記事が公開されました。
(主催:琉球大学研究推進機構研究企画室、共催:京都大学学術研究支援室、筑波大学URA研究戦略推進室/ICR、大阪大学経営企画オフィスURAプロジェクト、早稲田大学研究戦略センター)

第3回フォーラムのテーマ「地域と共に新しい"ジンブン" 力を創造する人社系研究の展開」の"ジンブン"とは、沖縄の言葉で「生きる知恵」を意味します。我々は日々多くの社会的課題に直面しますが、これら課題は一朝一夕には解決しません。そこでは、科学・技術の知識だけではない、人間の知恵の力("ジンブン" 力)が求められます。
今回のフォーラムでは、地域社会が抱える社会課題の解決や、新たな価値創造と実践に向き合っている研究を紹介しつつ、学術界それ自体が内包する課題もふくめて、人文・社会科学系研究の新たな可能性について議論しました。

当日の講演録や資料などが随時公開されていきますので、是非ご覧ください。

http://www.res.lab.u-ryukyu.ac.jp/news_170427.html
(琉球大学研究推進機構のウェブページにリンク)

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【7】大阪大学ホットトピック

社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学へ

大阪大学栄誉教授の称号付与式を行いました!

大阪大学ニューズレター2017春号を発行しました

「PROSPECTUS 2017」デザインを刷新して発行!

大阪大学から卒業生のみなさまへ(ご案内)

平成29年度いちょう祭開催(4月30日・5月1日)
いちょう祭は、本学の創立記念日(5月1日)を祝し、全学をあげて新入生を歓迎するとともに、教職員・学生の親睦及び地域との連携を図ることを目的に毎年開催しています。


○最新の研究の成果リリース

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【8】次号のお知らせ(予告なく変更する可能性があります)

大阪大学URAシステム整備事業の『これまで』と『これから』に関する特集の5回目(最終回)を予定しています。

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大阪大学経営企画オフィスURA部門(旧 大型教育研究プロジェクト支援室)
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2020年10月30日(金) 更新
ページ担当者:川人