大阪大学URAシンポジウム開催報告(2013年8月28日)~URAの先行きを照らす7つのキーワードでふりかえる

2013年8月28日に、大阪大学吹田キャンパスにて、「変革の時代に直面する大学とURAの役割」と題したシンポジウムを開催しました。当日は学内外から教職員・リサーチ・アドミニストレーターなど200名超が参加してくださり、大盛況でした(ご参加いただいた皆様、ありがとうございました)。

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◎開催概要はこちら
http://www.lserp.osaka-u.ac.jp/ura/sympo2013.html

◎講演概要はこちら
http://www.lserp.osaka-u.ac.jp/ura/pressrelease/201308082.html



大阪大学におけるURAシステム整備推進の一つの節目と位置付けられた本シンポジウムでは、大阪大学の、ひいては日本のURAの先行きを照らすであろうキーワードがいくつも出されました。本記事ではその中から7つを取り上げてご紹介しながら、シンポジウム当日の議論をふりかえります。



■サイエンスメリット(科学的価値)
日本学術振興会の安西祐一郎理事長による基調講演で、何度も登場した言葉。安西理事長の私見という注釈付でしたが、目前の競争的資金の獲得もURAの仕事として重要であるとした上で、これから何年かの間に研究者として豊かな実りをもたらす、その分野の未解決の課題に対応していく(特に若手)人材を、URAが見出していかに支援できるかが、これからの研究大学にとって極めて大きな課題であろうとのことでした。
安西理事長がおっしゃったサイエンスメリット(科学的価値)を、URAの仕事が生み出す価値の一つとして担保していくのは簡単なことではないと思われますが、まずは意識することから始めつつ、長期的な展望に立っての仕事につなげていきたいものです。



■クリエイティブであること
参加者からの質問「URAの人物像とは?」に、大阪大学免疫学フロンティア研究センター企画室の高木昭彦特任准教授が自身の考えとして回答。世界と戦う研究拠点においては、常に変化を求められ、新しいことをやらなければリードしていけない、リードしていけなければ存在する意義がない。URAは、新しい制度、新しい管理の方法を生み出していく役割の担い手であるべしという、阪大が誇る免疫学の現場を支える現役URAからの熱いメッセージでした。



■「事務事務した事務から経営理念の実行者へ」という意識改革
参加者アンケートで最も反響が大きかった発言の一つで、理化学研究所の古屋輝夫理事が事務職員に向けて提言したもの。理研では、事務アドバイザリー・カウンシルで今後の事務のあり方について議論された結果が提言にまとめられており(注1)、最近の事務が拡大・高度化している状況を受けて、研究者の下請けではなく、理研の経営の実務者という意識を持とうという方向で、事務職員の意識改革が進められているそうです。そもそも古屋理事に言わせれば、理研の全ての事務職員がリサーチ・アドミニストレーターの機能を持っているとのこと。
(注1)事務アドバイザリー・カウンシルからの提言-輝き続ける理研であるために-(平成23年2月23日) http://www.riken.jp/~/media/riken/about/reports/evaluation/raac/raac2011-report-j.pdf


ちなみに大阪大学では、正規の事務職員が約3,000人(非常勤職員等は約3,500人)いるのに対して、リサーチ・アドミニストレーション業務を本務とするURAは、そのわずか数%。本学におけるURAシステムの定着および効果的な運用は、URAがいかに事務職員と協働できるかにかかっています。



■大学のアドミニストレーション業務における専門性
大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室URAチームの平井啓による問題提起。元々は研究科所属の研究者だった平井は、2年半前に本部所属に変わり、本学が文部科学省のURA事業実施機関の選定を受けてURAシステム整備に着手した経緯などを、目の当たりにしてきました。一連の流れの中、URAを含む大学のアドミニストレーション業務担当者が目指すべき人物像を考える上で着目するようになったのが、この「専門性」というキーワードだったとのことです。平井によれば、こうした業務担当者の専門性とは、特定分野の知識という意味が強調される学術界での専門性とは異なり、他の人ができない方法論や技術を持っていること。大学で働く個々人が、小さなものも含めて自分の専門性について意識化し、それをより強くしていく中で、大学の価値と、個々の研究者・チームの価値の両者を高めていくことが望ましいと語りました。



■強みを創る
大阪大学大型教育研究プロジェクト支援室URAチームで阪大の研究活動状況の分析を担当する菊田隆からの発言。これまでは強みを「分析する」ことが一般的だったが、そうした受け身の形ではなく、強みを「創っていく」ことの重要性を語りました。菊田いわく、改めて強い大学とは何かを考えてみた時、戦略は2つ。1つは世界の最先端領域でプレゼンスを示すこと=競争に勝つ。この場合は競争が激しいので、戦法は研究者を中心とした正攻法です。もう1つは誰も手掛けていない領域を切り拓くこと=未成熟の分野に先手を打つ。ここではプレイヤーが少ないのでURAが仕掛ける余地があります。研究領域を探し(目利き、指標開発&情報分析等)、創り(新たな領域立ち上げ支援)、育てる(拠点形成のための研究費獲得支援等)という全体のサイクルを回していくことがURAの仕事として定着していけば、URAシステム自体の必要性が認知され、社会に定着していくのではないかと提案しました。



■研究推進における大学図書館の役割
日本古典文学の現役の研究者であると同時に、文学研究科研究推進室の室員として、研究科の研究推進業務に携わる加藤洋介教授のコメントです。人文・社会科学研究者からすると、URA的な仕事を担ってほしいのは図書館との指摘。研究者の身近な存在として、図書の管理や欠けているもののリサーチやリストアップ、資料補充などを通じて、今まで以上の研究支援機能を期待したいと加藤教授は語りました。しかし、例えば実際研究科にそうしたスタッフを雇用するには経費面での問題が大きく、実現はそう単純ではなさそうです。 阪大URAチームは、加藤教授の指摘に加え、オープンアクセス化の流れも踏まえながら、大学図書館の役割について関係者と議論していきたいと考えています。



■シンポジウムをお祭り騒ぎに終わらせない
本シンポジウム終了後、URAチームのメンバーを対象にスタッフアンケートを実施しました。最後に紹介するのは、そのアンケートで、とあるスタッフが本シンポジウムを評した一言。大阪大学におけるURAシステム整備事業はまだまだ道半ばです。本シンポジウムは、その進捗状況を学内外に報告し、今後につなげるコミュニケーションの場として開催しました。大阪大学URAチームは、今後順次迎えるそれぞれの節目で、本シンポジウムを拠り所としてふり返りながら、今後もURAシステム整備を進めていきます。みなさまのご指導・ご鞭撻、またご支援をよろしくお願いいたします。



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大阪大学URAメールマガジンvo.1掲載記事)