第8回学術政策セミナー
講演録公開研究を支える多様な仕掛け

開催日時
- 第8回学術政策セミナー
- 2017年10月26日
- 大阪大学吹田キャンパスサイバーメディアコモンズ(サイバーメディアセンター本館1階)
開催概要
昨今、研究を支える仕組みが多様化しつつあります。基礎的な研究に取り組むためには、科研費をはじめとした国の競争的資金はとても大切な資金源ではありますが、研究分野によって、あるいは、研究のアプローチによっては、他の資金源を活用することができるかもしれません。一方、研究の振興には将来の研究を担う若手研究者の育成が欠かせません。
本セミナーでは、話題提供1において、大学がクラウドファンディングやクラウドソーシング等を利用しながら研究を支える仕組みづくりをしている事例を紹介していただきます。次に話題提供2では、基礎研究の研究者でありながら、ベンチャー企業を立ち上げ、得られた資金をもとに、広く若手を支援する財団を立ち上げられた事例をうかがいます。
その後の全体討論では、大学が社会のステークホルダーの協力を得て研究に取り組むために望ましい、「研究を支える多様な仕掛け」について、参加いただいた方々も交えて議論を行いたいと思います。
開会挨拶
三成 賢次:大阪大学理事・副学長 <大学経営総括理事>大阪大学大学経営総括理事の三成と申します。本日は主催者側を代表して、一言ご挨拶をさせていただきます。
学術政策セミナーは、IR・URAが集まり、大学における経営支援を行っている、経営企画オフィスが開催しています。本セミナーは、大阪大学の事務職員や研究者の方と共に考えていくための場です。また、せっかくの機会ですので、学外にも広くご参加を呼び掛けています。第8回は「研究を支える多様な仕掛け」というテーマで開催いたします。
いま、国立大学の財務は、資金を外部から持ってこないと立ち行かなくなりつつあるという、厳しい状況です。大阪大学においても、産学連携により企業からのご支援をいただいていますが、それだけでは難しい状況になってきました。西尾総長も、広く社会と共に考え、新しい価値を生み出しながらイノベーションを起こしていく役割を担っていかなければならないと、強く訴えています。
本日は、クラウドソーシングの先駆的な取り組みや、ベンチャー企業の立ち上げに成功されたご経験を踏まえ、社会との連携の中で大学における教育研究活動を活性化するために参考となるお話をしていただけると伺っています。どうぞよろしくお願いいたします。
話題提供1
「所有から共有へ! アカデミック・プラットフォームの構築について」

野地澄晴氏
徳島大学長プロフィール:
1992年から徳島大学教授(工学部・生物工学科、専門:発生・再生生物学)。四肢の発生、コオロギの脚の発生・再生の研究。2012年徳島大学理事(研究担当)、 2016年から現職。一般社団法人大学支援機構(http://universityhub.or.jp/)を設立。クラウドファンディング、クラウドソーシング、大学支援店(オンラインショップ(予定))の各システム(おつくる*注)を開設。
*注おつくる https://otsucle.jp/
大学支援機構(http://universityhub.or.jp/)は、「所有から共有へ」をモットーに、企業や自治体などと国内の大学との連携を支援し、オープンイノベーションなどを推進するために設置された一般社団法人。大学や企業・自治体が連携することが、日本の発展に不可欠であるとの考えから、大学支援機構では、そのためのプラットフォーム「おつくる」を運営。徳島大学も「おつくる」を支援しており、「おつくる」において下記のシステムを構築。
1. クラウドファンディグ: 研究費、運営費、事業費、試作費用などを、「おつくる」ので調達。
2. クラウドソーシング
(1) 教育支援型(講義、問題作成など) :教養教育の基盤科目の講義を配信、CBT用問題作成を依頼、対価を支払う。
(2) 研究支援型(測定など) :測定、データの解析等を登録者に依頼、作業費を支払う。
(3) 研究支援型(制作など) :装置、ソフト、センサーなどの作製を登録者に依頼、作業費を支払う
(4) 研究支援型(申請など) :遺伝子組換え申請書、動物実験申請書、倫理審査申請書など製作支援、管理。
(5) コンペ型:企業、自治体、大学が抱える高度な課題に、賞金を設定して、アイデアを募集。採用者には賞金。
(6) 社会貢献型:防災、WEB制作、プログラム開発、ライターなど様々な作業について、提案者を募集・選択、発注。
(7) 産学連携型:課題を提案し、提案された解決案の中からベストを選択、発注または共同開発(大学産業院)。
3. 共同購入、研究成果が製品化できるものであれば、オンラインショップ(予定)で販売可能。
はじめに
私は現在、徳島大学長ですが、2012年3月まで徳島大学の工学部生物工学科の教授で、昆虫(コオロギ)の発生と再生の研究をしていました。その後、2016年まで研究担当理事でした。現在の大学は運営費交付金の削減により、財政的に非常に厳しい状況で、徳島大学は毎年約1億円交付金が削減されています。現在、定年退職教員の不補充などでその削減に対応していますが、このままでは研究費などがゼロになり、大学としての機能が損なわれるのは明らかです。この状況を改善するためには、財政的に自立できる体制を構築する必要があります。つまり、何らかの方法で外部資金を増加しなければなりません。しかも、毎年1億円、2億円と増加する必要があります。これを実現するためには、成長する企業を大学が持つ必要があると考えています。実際には、しかし、例外もありますが、大学が営利的な事業を行うことは規制されています。この問題をどのように解決するか、ぜひ、皆様と議論できればと思っています。
突き抜ける力
まず、どのようにすれば、成長する企業、しかも指数関数的に成長する企業を設立できるのかを調べることにしました。様々な本を読んで勉強をしました。最も感動した本が、『ボールド 突き抜ける力』(著:ピーター・H・ディアマンディス、スティーブン・コトラー)です。この本には、世界を救うことが一番重要である、と書かれています。10億人規模の人たちを救うといった、世界規模のさまざまな取り組みが、結果的に企業に富をもたらすという話です。ちなみに、本の副題は「超ド級の成長と富を手に入れ、世界を変える方法」となっています。本の内容を紹介します。
まず、「最新のテクノロジー」をいかにうまく使うかが重要です。その次に重要なのが「マインドセット」です。例えば、地球規模で環境を良くする、あるいはエネルギー問題や貧困の問題を解決するといったように、とにかく地球規模の大きな問題を解決することを意図するマインドセットが重要だと書いてあります。この本の中で、一番おもしろかったのが、イーロン・マスク氏の紹介です。彼の最終的な目標は、人類の火星移住でした。世界の人口がどんどん増加し、全員が地球に住むのは困難になるでしょう。そうなると宇宙を開発しなくてはなりません。そこで、火星に人類が移動して住めるようにしたいと考えました。しかし、実現には時間がかかりますから、少しでも地球の環境を良くしておくために、まず電気自動車をつくるという発想です。さらに、火星と地球を行き来するために、ロケットを開発する会社を自分で興し、実際にもう、ロケットを飛ばし始めています。最近では、そのロケットで地球上を移動すれば、日本とアメリカの移動時間が30分くらいになる、といった話もしています。一方で、電気をつくるために、新しく太陽光発電の事業を始めています。
かつてジョン・F・ケネディが月に人を送ろうと、さまざまな挑戦をしました。そのような、達成が困難である壮大な挑戦をムーンショットと言います。大きな目的を持って、それに向かって頑張っていきましょうと、イーロン・マスク氏はまさにそういう目標を立て、実行しています。
クラウドの力
この本の著者の一人、ディアマンディス氏は、これからは「クラウドの力」を使うことが重要だと言っています。現在、インターネットを通じて世界がつながっています。地球上に70億の人がいるとして、20億人、30億人もの人たちとインターネットひとつでつながっているのです。今後も何十億人という単位で増えていきます。それをいかに利用するかが将来の発展を決めるひとつの鍵になります。クラウドソーシングやクラウドファンディングはそのよい例です。
問題を解決しようとするとき、自身の周りからだけでなく世界から知恵を借りるとか、あるいは資金を集めたいとき、徳島だけで募るのではなくて、世界的な規模で資金を募ることができれば、数の効果を得られ理想的です。例えば10万人の支援者を獲得し、その方々が千円ずつ寄付してくだされば1億円集まります。単純な計算ですが、1億人のサポーターが来れば一人あたり10円でも10億円になります。そういったかたちで世界中からの資金調達を実現するのがこのクラウドの力です。
ディアマンディス氏はXPRIZE財団を設立して、飛躍的な技術革新を促進するようなコンテストを、1億円、10億円規模の賞金をつけていくつも手掛けてきました。そのうちの一つである、いかに効率よく月に到達して、月面探査やいろいろな課題を達成するかといったコンテストには、日本からも参加しています。実際にロケットを打ち上げるための資金はどうしているのかというと、実はクラウドファンディングで集めたりしています。
「クラウドの力」の活用が、おそらく世界的な流れの一つになっていくのではないかと感じて、それを大学の経営に使おうと短絡的に考えました。その具体的な方法は『シンギュラリティ大学が教える飛躍する方法』(著:サリム・イスマイル)に書かれています。シンギュラリティ大学とは、先ほどの『ボールド 突き抜ける力』の著者のピーター・ディアマンディス氏がつくった大学です。最近、シンギュラリティ大学のジャパンサミット が東京で開催され、私も参加してきました。受講料が10万円で、私費で払いましたが、たくさんの参加者がいて非常におもしろいセミナーでした。
この本の副題に「ビジネスを指数関数的に急成長させる」と書いてあります。私も、今のような状況だと、大学もエクスポネンシャル(指数関数的)に発展しなければならないと感じています。したがってクラウドファンディングとクラウドソーシングを、大学の経営にも取り入れていかなくてはいけないと考え、試行的な取り組みを始めました。大きな大学ではなかなか難しい取り組みかもしれませんが、徳島大学の規模だと、ある程度チャレンジできると考えています。
今朝の朝刊に「経営苦しい私大は合併を―国立大、複数大学経営可に 文科省、大学効率化で方針」という記事 が載っていました。今はまだ国立大学法人による複数大学の経営はできないのですが、法律を変えて、複数の国立大学が一緒になって一つの大学になることが考えられています。いずれにしても、共通のプラットフォームを利用して、各大学が所有しているものを共有して、経済的効果を生むことが、大学が優先的に行うべきことだと思います。これは必然的な流れかもしれません。この先、大学同士の協働は不可欠だと思います。それをすすめていくのが、大学の経営を成功に導くことにもつながると考えています。
クラウドソーシング
図1は、日本学術会議が、平成29年6月27日に出した提言『国立大学の教育研究改革と国の支援-学術振興の基盤形成の観点から-』のひとつです。ICTを利用して国立大学の連携強化を図るべきだと書かれています。国立大学法人の規則は同じなので、業務の中身は同じなのですが、財務会計システム、あるいは人事のシステムにしても、各大学がそれぞれ違うシステムを使っています。それでは非常に無駄が多いのではないのか、であれば、その無駄をなくすために共通の基盤システムを作っていこうと考えたのです。
略称はAXIES(Academic eXchange for Information Environment and Strategy)といいます。現在の会長は、京都大学の北野正雄氏です。その提言の中心となった方が、九州大学の安浦寛人理事です。そして、それを実現するために、一般社団法人大学ICT推進協議会が2011年に設立されました(図2)。
今年、RA協議会というURAの会合が徳島で開催され、大阪大学の西尾総長にもお越しいただきました。その際に私は次のような趣旨の構想を述べました。
- 現在86もの大学がさまざまな業務に、それぞれが高額のお金を費やしている。
- ある大学が補助金をもらって何らかのシステムを開発しても、他の大学はそれを使うことができない。
- つまり、国がお金を出しているのに、結果として非常に効率の悪いやり方になっている。
- システムを大学間で共有していけば、様々な無駄が省けるはずである。
この構想と先ほどご説明した日本学術会議の提言は、同じコンセプトに基づいていると西尾総長からご指摘いただきました。実際に九州大学の安浦先生とお話しして、AXIESと一緒にやっていこうと考えています。
共有による効果の典型例として、Uber という車を有効に使うためのサービスがあります。人によって差はあるでしょうけれど、30分か1時間かけて車で通勤をして帰るまでの間、つまり8時間以上はただ駐車場に車を停めているだけです。その間、車の機能を何も使っていません。それではもったいない、本来の車の役割を果たすように、1台の車をみんなでシェアして、使いたい人が使えるようにすれば、効率的で、皆が便利になり、しかも経済的です。それであっという間にUberを提供する会社は成長して、車は所有から共有に移行しつつあります。さらに自動運転まで実現すれば、おそらくほとんどの人が、普段の通勤に自分の車を使わなくなるだろうと予想しています。
私たちは大学でも同じような試みを行いたいと考えています。学生の支援システムや論文の作成システム、いろいろと導入したいシステムはありますが、いきなりこれらをやるのは難しいでしょう。そこでまず、どこの大学も持っていないようなシステムを我々が導入し、皆さんと一緒に歩を進めていくのが一番いいと考えています。そのために、クラウドファンディングやクラウドソーシング、ネットショップのようなシステム、あるいは安全保障管理システムなどのマイナーなシステムから始めようと考えております。
クラウドファンディング
クラウドファンディングはご存じのとおり、参加する人が増えれば増えるほど、一人あたりの負担を少なく資金集めができるシステムです。もちろん、参加者を増やすには共感を得なければなりません。例えば最近、シリコンバレーで料理法のデジタル化が話題になっています。料理法、つまりレシピとは、量はスプーン何杯入れるのか、調理温度はどれくらいで調理時間は何分かなどの情報ですが、それらをきちんとデジタル化できれば、データを入れるだけで、素人でも完璧なステーキが焼けるとか、そういったものが開発されてきており、料理を劇的に変えていくでしょう。アメリカでは、クラウドファンディングで5千万円余りのお金を調達して、開発に成功すれば1台5万円で皆さんに販売しますよ、といった事業をやっておられます。わかりやすく料理や調理器具の例をあげましたが、これを研究に置き換えると、実験法のデジタル化やさまざまな用途に使うことができると思います。
私たちは研究費を獲得するために、科研費に応募するわけですけれど、その採択率は約30%と低く、しかも審査で採択されるか採択されないかは、ほんのわずかの差しかありません。そのようなわずかの差で採択されなかっただけの優れた研究であれば、皆さんに訴えて少しずつお金を集めるといった方法もあるのではないかと考え、クラウドファンディングのためのシステムを作りました。「Otsucle[おつくる]」と名づけたツールです(図3)。このネーミングは、「~をつくる」からとっています。物「をつくる」とか、環境「をつくる」とか、元は「を」なのですが、それを「お」に変え、名前にしました。大阪に「ニフレル」という水族館がありますが、それと同じような発想です。
実際に、学生がソーラーカーをつくってコンテストに出場したいと言うので、その資金をクラウドファンディングで集めました。その結果、今年コンテストに出場しました。実際のところはなかなかうまく動かなかったのですが。今は、公道ではありませんが、自動車教習所の中を借りて走行する段階まで進んでいます。
約1年で、16件程度の細々としたプロジェクトがこのシステムを使って、何とか二千万円程度の資金を集めることができました。もう少しうまくやれば、もっともっと増えていくと思うのですけれど、やはり支援者の数をもう1桁、2桁増やさないと難しいところです。それを実現するために、全国の大学が一緒に取り組んでいただけるともっともっとこの仕組みが広がっていくと思います。ぜひ大阪大学もご参加いただけると本当にありがたいと思います。それがたぶん日本の大学を救うことにつながると思います。
世の中にはさまざまな問題がありますが、問題を解決できる人が、自分の会社や大学にはいない場合もあります。世界のどこかにいる課題解決者を見つけるのも、インターネットで10億人、20億人と参画できるようにすれば実現できるかもしれません。クラウドソーシングの考え方です。スタートしたばかりですが、私たちはアカデミック・クラウドソーシングを考えています。これは、大学でいろいろな用途で使えると思います。詳細は、時間の関係で省きますけれども、どのように使うかもアイデアであると考えています。
仮に大学での物品の購入ひとつを取っても、いまは各大学でそれぞれに調達していますが、その各大学の調達をひとつにまとめれば、非常にメリットが多くなると感じます。このようにいろいろなことができると思うので、そういったシステムも作っていきたいと思っています。
徳島大学「大学産業院」
大学がいかにして、成長する企業を構築するか。その答えのヒントは大学病院にあるのではと考えました。徳島大学の運営費は、約400億円です。その半分、200億円は大学病院の予算です。大学病院は収益を上げることができ、ほぼ自立的に運営されています。医学部には臨床系の教員と基礎系の教員がおり、臨床系の教員は研究を行うとともに、病院において診療などを行っており、そこから収益が生まれています。しかも、基礎研究から臨床研究が医学部で行われ、その成果が実際に病院で病気の治療に使用されているのです。つまり、基礎研究から社会実装までを実現するシステムがあるのです。現在の理工系のシステムには、社会実装を実現するシステムが欠落しているのではないかと思っています。大学病院と類似のシステムを、理工系にも構築することを考えました。大学産業院では、大学病院の臨床系の教員に相当する教員を「応用系教員」と名づけて、その方たちが実際に企業活動を行い、収益活動ができる「稼ぐシステム」を構築できるように現在取り組んでいます。大学産業院において、企業活動を行うにあたり、どのような企業活動が必要なのかを考えました。
そのヒントは、Small Business Innovation Research(中小企業技術革新制度)、SBIR と略しますが、それとスタートアップ・スタジオという概念でした。ここでもうひとつ、京都大学の教員である山口栄一氏が書かれた本『イノベーションはなぜ途絶えたか』をご紹介します。「イノベーションは途絶えた」ことを前提に、いくつかの理由が書かれています。ひとつの理由として、SBIRプログラムがアメリカではうまくいっているけれども、日本ではうまくいっていないと指摘しています。
- Phase1 Ideaの実現可能性を調べる(Proof of concept(POC)) (賞金、1年間、800万円~)
- Phase2 試作品作製(2年間、6,000万円~)
- Phase3 商業化(国からの援助なし、ベンチャーファンドなどが出資)
アメリカのSBIRはどうなっているかといいますと、商業化へのステップを三つのPhaseに分けています。まず Phase1に採択されると、Ideaの実現可能性を調べるProof of Conceptに対して、1年間に800万円程度が、成果を問わずに、つまり賞金として出されます。Phase2ではPhase1の審査クリアしたものについて、2年間で6,000万程度の資金で試作品を作製します。うまく試作できたものに関しては、Phase3の商業化へと移り、この先は国からの援助はなく、ベンチャーファンドなどの出資を受けてビジネスを興していくシステムです。アメリカではこの予算を省庁からの拠出として義務化していることが成功の一因であるとしています。日本については、同じ名称のファンドがあるものの、うまくいっていない原因について分析しています。
そこで、日本でもSBIRを確実に活用するためのシステムをつくるため、研究クラスタ制度を設置しています。また、大学産業院の中にスタートアップ・スタジオという組織を構築することを計画しています。このような大学のシステムと、先ほどのクラウドソーシング、クラウドファンディング、オンラインショップを組み合わせ、トータルに動かすことで、うまく回転すれば、さまざまな課題を解決する面白いシステムができるのではないかと、実現に向け取り組んでいます。
*注 おつくる https://otsucle.jp/
大学支援機構(http://universityhub.or.jp/)は、「所有から共有へ」をモットーに、企業や自治体などと国内の大学との連携を支援し、オープンイノベーションなどを推進するために設置された一般社団法人。大学や企業・自治体が連携することが、日本の発展に不可欠であるとの考えから、大学支援機構では、そのためのプラットフォーム「おつくる」を運営。徳島大学も「おつくる」を支援しており、「おつくる」において下記のシステムを構築。
1. クラウドファンディグ: 研究費、運営費、事業費、試作費用などを、「おつくる」で調達。
2. クラウドソーシング
(1) 教育支援型(講義、問題作成など) :教養教育の基盤科目の講義を配信、CBT用問題作成を依頼、対価を支払う。
(2) 研究支援型(測定など) :測定、データの解析等を登録者に依頼、作業費を支払う。
(3) 研究支援型(制作など) :装置、ソフト、センサーなどの作製を登録者に依頼、作業費を支払う
(4) 研究支援型(申請など) :遺伝子組換え申請書、動物実験申請書、倫理審査申請書など製作支援、管理。
(5) コンペ型:企業、自治体、大学が抱える高度な課題に、賞金を設定して、アイデアを募集。採用者には賞金。
(6) 社会貢献型:防災、WEB制作、プログラム開発、ライターなど様々な作業について、提案者を募集・選択、発注。
(7) 産学連携型:課題を提案し、提案された解決案の中からベストを選択、発注または共同開発(大学産業院)。
3. 共同購入、研究成果が製品化できるものであれば、オンラインショップ(予定)で販売可能。