大阪大学 経営企画オフィス URA×IR大阪大学 経営企画オフィス URA×IR

メールマガジン

URA MAIL MAGAZINE

URA MAIL MAGAZINE vol.75

「混ぜて生み出す"化学反応"!」特集

2022年3月 発行

何か始めたい気持ちになる季節が巡ってきました。
異動などで新しい人と出会う機会が多い時期でもあります。

今号は、多様な人々の出会いから新しい何かを生み出そうとする試みに関連する記事3本をお届けします。
その試みとは、第6回大阪大学豊中地区研究交流会、研究大学コンソーシアム MIRAIプロジェクト、第7回人文・社会科学系研究推進フォーラムという、異分野交流関連の取り組みやイベントです。

URAスキル認定機構によるURAスキル認定制度の本格稼働のお知らせもあります。

ぜひご高覧ください!


■INDEX
  1. 第6回大阪大学豊中地区研究交流会(オンライン開催)レポート
  2. 研究大学コンソーシアム「MIRAIプロジェクト」に関わった1年をふりかえって
  3. 第7回人文・社会科学系研究推進フォーラム「人文・社会科学系研究が創造するイノベーション」参加報告
  4. JST 創発的研究支援事業 2022年度応募支援を始めました
  5. URAスキル認定機構によるURAスキル認定制度が本格稼働します
  6. 大阪大学URAだより--2022年1月~3月の主な活動例
  7. 大阪大学ホットトピック
  8. ●大阪大学が3位 -THE世界大学ランキング日本版2022-
    ●大阪大学の活動基準(3月22日~)について
    ●ウクライナ情勢に関して
    ●「PROSPECTUS 2022」発行!
    ●最新の研究の成果リリース

【1】第6回大阪大学豊中地区研究交流会(オンライン開催)レポート

山田綾子/大阪大学大学院法学研究科 助教・URA

2021年12月21日、オンラインにて、第6回大阪大学豊中地区研究交流会が開催され、学内外の教職員、学生、企業関係者および近隣住民など162名の参加者がポスター発表と意見交換会を通して交流を深めました。
<第6回大阪大学豊中地区研究交流会 関連資料>
 ・チラシ
 ・プログラム(ポスター発表リスト・操作マニュアル)

大阪大学は、世界トップレベルの研究を推進するという理念のもと、研究科等の組織の特徴を活かし、多様な研究形態の下で知の創造を行うとともに学際的・融合領域研究を促進し、基礎から応用までの幅広いイノベーション創出拠点の構築を目指すことを研究目標としています。中でも豊中地区は、旧教養課程の伝統を受け継ぎ、基礎科学を重んじる理系部局と人文社会科学系の部局を共に有していることから、研究者が互いの研究を知り、交流を深めることで、新たな産学共創活動への発展を目指し、産業界との親交をも深めることを目的として2016年度から毎年、豊中地区研究交流会を開催して参りました。
近年、エネルギー、環境、食料、人口爆発、感染症などの社会的課題について総合的な視点から解決策を探る取り組みが求められ、分野横断型研究、文理融合研究、また基礎研究からの産学連携といった豊中地区の特性を生かした教育・研究活動に対する社会からの要請が増大しています。豊中地区研究交流会は、こうした期待に応えるために研究者の有機的連携による部局横断型プラットフォームを提供しています。

6回目となる今年度の企画運営については、法学研究科が中心となり、筆者ら部局に所属するURA3名(理学研究科URA坂口愛沙助教、基礎工学研究科URA藤原稔久助教、筆者)が豊中地区研究交流会委員会の委員および事務職員らと連携して進めました。今回も感染症予防の観点から対面開催は断念せざるを得ませんでしたが、昨年度の経験を生かし、オンラインイベントツールのRemo Conference(以下、Remoという)を活用することで、従来通りのポスター発表による研究交流をメインにしながらも、参加者同士で自由にディスカッションを行える場づくりが実現しました。

以下、過去の開催状況も織り交ぜながら、第6回研究交流会の実施概要を紹介したいと思います。
まず、イベント内容は、前回と同様にポスターセッションおよび情報交換会としました。豊中地区にある14の部局・センター等から、今年度は合計42件のポスター発表がありました。午前と午後に設けた80分間の持ち時間(コアタイム)を発表者に割り振り、事前に提出されたポスター(PDFファイル)をRemo上の「テーブル/部屋」に1つずつ、1フロア14件、計3フロアを使って配置しました(図1)。Remoではウェブカメラやマイク、ホワイトボード機能を利用することができ、発表者を含む参加者は自由に意見交換することが可能です(図2)。また、その他のテーブルを使って、第1回から第5回までのプログラムを紹介したり、フリースペースを設けたりして適度な遊びをつくるとともに、前回のアンケートで要望の多かったすべてのポスターを一度に閲覧できる場を用意するなど、リアルなポスター発表会場の雰囲気に少しでも近づけるよう、また短時間でも効率的に交流を深められるよう心掛けました(図3)。さらに参加者の理解を助ける資料として、プログラムの発表ポスター一覧には、キーワードに加えて要旨も掲載し専用サイトにアップロードしました。
特に、Remoのホワイトボード機能としてmiro(オンラインのホワイトボードツール)が採用されたことで、ポスターをアップロードした状態で維持できるようになったことと、ひとつのイベントを48時間まで継続して開催し、同時に複数のRemo会場を運営することができるプラン(Keynote、現在このプランは終了)が誕生したことは、準備段階で大きな助けとなりました。これにより、本番サイトで発表者を対象とした接続テスト(2日間のべ67名参加)を実施しながら細部を作り込んでいくことができましたし、参加者向けには別にシンプルなサイトを用意し事前体験会(2日間のべ61名参加)を開催してRemoに親しんでもらうよう努めました。

toyonaka#06_01.png 図1.会場全体図
開催時期(12/21)にちなみホリデーシーズンをイメージしたフロアプランを選択した。バナーでプログラムやフロアマップを表示し、交流方法を説明する動画を埋め込むなどして参加者が迷子にならない仕掛けを工夫した。

toyonaka#06_02.png

図2.発表者テーブルとホワイトボード機能によるポスター発表
発表者には8名まで着席できるテーブルを割り当てた。お目当てのテーブルに着きホワイトボードを開くとMiroに繋がり、アップロードされたポスターと質問・コメント記入欄が表示される。

toyonaka#06_03.png

図3.ポスター一覧テーブル
すべてのフロアにポスター一覧テーブルを用意した。このテーブルに着きホワイトボードを開くと42件のポスターを一度に見ることができる。個々のポスターは拡大表示も可能。

広報面では、昨年度は見合わせていた周辺自治体への後援依頼を復活させ、自治体や団体等のメーリングリストを通して学外からの参加を呼び掛けるなど、集客にも積極的に取り組んだ結果、参加者数はオンサイト開催時には及びませんでしたが、昨年度を上回り、海外からの発表者や参加者も得ることができました。
ポスターの出展数は集客面でも重要な要素ですが、対面で実施した2019年度の51件を上限として、昨年度の31件を下回ることがないよう調整しました。これは昨年度の反省から、特定のポスターに参加者が集まってしまって見たいポスターのテーブルに着くことができないという状況を回避するための措置でもありましたが、かえって訪問者が少ないテーブルを作る結果になりました。参加者からも、「一度ひとつの部屋に入ってしまうと移動しにくく思っていたほど回ることができなかった」といった意見が聞かれ、「リアルの方が気軽に参加・離脱できる」、「可能ならば対面開催が望ましい」という声も少なくありませんでした。また、今回新たに寄せられた要望としては、「事前や事後にポスターの閲覧期間を設けてほしい」というコメントがありました。予め発表者の合意を得ることが必要ですが、オンライン開催に適した運営手法を考える材料になりました。

こうした課題はあるものの、全体として参加者の満足度は高く、アンケートでは92%の参加者が「参加して良かった」と回答しており、これはオンサイト開催時(2019年度の第4回は94%)と比較しても高い水準を維持しています。いずれの参加者アンケートでも、「研究者本人から話を聴くことができる」(第4回)、「一度に色々なものを見られる」(第4回)、「普段接する機会の少ない領域の研究に関して、直接研究者から話を聴くことができる」(第6回)、「先生方の熱心さが伝わる」(第6回)、「様々な分野の研究のポスター発表を一度に見ることができる」(第6回)など、研究者と対話できる喜びや発表内容の多様性への驚嘆を表すコメントが散見され、開催方式に依らずそれらが本交流会独自の魅力となっていることがわかります。
また、発表者に対してのアンケートからは、「今後も参加したいと思う」発表者が対面開催時の第4回(66%)と比べて今回は79%と1割以上も増加するという結果も得られました。これまでも本交流会は学内のネットワークづくりや自身の研究へのヒントを得る場として評価されていますが、自宅や滞在先からでも参加できるというオンラインならではのメリットや、発表中に説明資料を追加したり動画やペン機能を駆使したりというような発表方法における自由度が、高い満足度につながったのではないかと考えられます(図4)。

toyonaka#06_04.png

図4.ペン機能を使ったリアルタイムの遣り取り
ここでは理学研究科からの発表者が組みひもの理論についてペン機能を使って図示しながら説明している。

運営面では、今年度も教育および若手研究者育成を目的に学部生・大学院生にもアルバイトとして協力をお願いしました。基礎工学研究科の八尾洋希さんには、昨年度から2年続けてサポートいただいたことから、運営補助に関する感想をお願いしたところ、快く引き受けてくださいました。自分と異なる人社系の研究者による発表手法から学んだことやアルバイトの留学生との関わりから得た経験など4つの観点からまとめてくださいましたので、是非ご一読ください。
西尾章治郎総長による開会挨拶からも、豊中地区研究交流会が「教育研究の好循環を生み出すエコシステムを体現する取組」として、若い世代を巻き込みながら「文理融合・異分野連携・産学共創への架け橋」となることを期待されていることが感じられます。ある発表者からのコメントに、「他分野を意識して関心を持ってもらいやすいようにポスターが作成されているので、学生にも分かりやすい研究会となっており、進学に関心を持つ学部生や大学院生に向けたアプローチがあっても良いと思う」という意見がありました。これまで研究者の相互理解を目的に分かりやすいポスターづくりをお願いしてきましたが、これにより10代・20代の参加者にとっては教育面での効果が期待できるというわけです。八尾さんのように、みずみずしい感性でたくさんの気付きを得る経験を一人でも多くの若者に味わってほしいと思います。
コロナ禍においてもあきらめずに継続開催してきたことを糧として、今後も力を合わせて取り組んでいければと決意する次第です。

最後になりましたが、本交流会は、大学本部からの経費支援により実現しました。交流会の開催にあたり、企画運営にご協力、ご支援いただいた大阪大学関係者の皆様、発表者、すべての参加者の皆様にこの場をお借りして御礼申し上げます。

<参考> 過去の交流会開催レポート
第1回(2016年度)
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/uramagazine/vol_040.html#04
第2回(2017年度)
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/uramagazine/vol_052.html#01
第3回(2018年度)
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/uramagazine/vol_059.html#02
第4回(2019年度)
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/uramagazine/vol_065.html#03
第5回(2020年度)
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/uramagazine/vol_071.html#03

INDEXに戻る

【2】研究大学コンソーシアム「MIRAIプロジェクト」に関わった1年をふりかえって

池田裕香/大阪大学 経営企画オフィス URA部門

MIRAIプロジェクトの概要

研究力強化に取り組む大学及び大学共同利用機関法人からなる研究大学コンソーシアムが、2021年4月、MIRAIプロジェクト(MIRAI = Multi-disciplinary trans-Institutional Research Assistance Initiative)を始動させました。これは、URA(University Research Administrator)が分野や機関の枠を超えた共同研究を企画・立案・推進するための、オンラインプラットフォーム(DXプラットフォーム)構築を目的とする試みです(図1, 2)。その背景には、URAが対応すべき研究支援業務が質的・量的に拡大し属人的な能力に頼ることの限界と、SDGsやCOVID-19など社会的要請に基づく複雑な研究企画を迅速に進める必要性があります。URAの協働を効果的に進めるDXプラットフォームを構築できれば、研究者単独では開拓が難しいとされる異分野融合研究の促進、新たなシーズの発掘にもつながるのではないかと期待されています。

MIRAI-DX.png

図1 MIRAIプロジェクトで何ができるようになるか?(研究大学コンソーシアムHP掲載資料より)。

DX-PF.png

図2 DXプラットフォームの全体像(研究大学コンソーシアムHP掲載資料より)。

トップダウン社会課題 「ポスト・コロナ」に関する研究者マッチング

2021年4月、MIRAIプロジェクトの最初のテーマとしてトップダウン社会課題 「ポスト・コロナ」が設定されました。研究大学コンソーシアムを構成する36機関から参画を希望する研究者を推薦し、各々の研究者にURAが伴走するかたちで、研究者のマッチングをURAが行うというものです。DXプラットフォームを用いない、いわば、アナログ的なアプローチです。本学からは、4名の研究者と筆者を含む3名のURAがこの「ポスト・コロナ」テーマに参加しました。

筆者自身は、医学系研究者と情報科学系研究者、各1名に伴走することで、このプロジェクトに参加しました。マッチング対象として、前者は社会課題を解決するため主に人文系研究者を、後者は自身の技術を医療診断に活用するべく現場の医師の経験をもつ研究者を、それぞれ希望されました。参加登録時の情報(興味・関心、マッチング対象分野など)を公開したオンラインツールMiroによる他の参加研究者との交流などを通じ、両先生方ともマッチングはスムーズに進みました。その結果、医学系研究者は他機関の情報社会学分野の先生と共同研究グループをつくり、各専門分野の研究者に声をかけながら、ワークショップの開催を予定しています。また、情報科学系研究者は他機関の呼吸器疾患分野の先生及び、その紹介により同分野のご専門の先生と、共同研究を予定しています。

両研究者とも、研究のネタは日頃からあたためていたものの、様々な分野の先生方との共同研究に向けてタイミングを伺っておられたようです。かなりお忙しい中ではありましたが、MIRAIプロジェクトに積極的にご参加いただき、自身のご研究とは全く異なる分野の先生方との出会いを実現することができました。伴走URAとして、今後の展開に大いに期待しています。

MIRAIプロジェクト試行報告会&DXプラットフォームお披露目会

3月17日には、この1年のプロジェクトの取組報告及び、構築中のDXプラットフォームのお披露目がありました。

MIRAIプロジェクトを中心的に進めておられる一人・新田元先生(東京工業大学)からの「ポスト・コロナ」テーマの報告によれば、このテーマには研究大学コンソーシアム参画の36機関から全部で113名の研究者がエントリーし、少なくとも19組の共同研究グループが形成されたとのことでした(36機関のうち18機関から回答があった事後アンケート結果より)。うち13組では、科研費申請やワークショップ開催、試料提供・分析開始などの活動がすでに始まっているそうです。

会の後半では、エルゼビア社より、Pure(ピュア)というシステムを基盤として現在構築中のDXプラットフォームについて概要が説明されました。プラットフォームは、科研データベースに登録されている36機関52,000人の研究者の情報を集約したPureポータルと、URAが共同研究プロジェクト企画等に用いるPure管理画面の2つから構成されるとのことです。

2022年度は、いよいよDXプラットフォームの運用が始まり、研究大学コンソーシアム参画機関のURAがそれを実際に使いながら、分野や機関、更にはセクターの枠を超えた共同研究プロジェクトの企画を実践していくフェーズに入っていきます。

まとめに代えて〜担当者所感

研究者は日々研究と論文の作成に追われ、分野の枠を超えた研究に興味があってネタをあたためていたとしても、何かきっかけがないとそれを実行に移すのは二の次になってしまう場合があります。また、大学の枠を超えた研究に必要性を感じていない研究者の場合は、個々の状況に合わせて研究者のモチベーションを向上させたり、保ち続けたりするテクニックがURAには必要ではないかと思います。上記3月17日の会でも議論されましたが、DXプラットフォームが改良されていってもデジタル的に出来る事には限界があります。最後まで残るアナログ対応が必要な部分が、URAにしかできないことにあたるのではないでしょうか。

今回筆者が伴走した両研究者からは、日頃出会えない研究者との出会いに期待して参加したと言っていただきました。日頃からタイミングを見計らっていた複雑な研究内容を想定していたようですが、「少々間違ってもいいから、池田さんの考えで、マッチング相手を提案し共同研究グループの構成まで持って行ってほしい」という懐深いお言葉をいただきました。伴走URAとして、どのようなマッチング相手をURAが提案してくるのだろうという研究者のワクワクに答えたい気持ちを強く感じながら尽力し、グループ形成に至った経験を振り返ると、共同研究グループの個性を引き出すという点では、アナログでの個別性も有効だと思いました。まさに、DXプラットフォームで出来ない部分は出来ないままで良く、そこでURAが力を発揮すべきなのだと感じました。
最後になりますが、MIRAプロジェクトを設計・運営してくださり、大阪大学にそのプロジェクトへの参加機会を与えてくださった関係者の皆様に感謝を申し上げます。今後も大阪大学、また、日本の大学の研究力を強化する取り組みの一つとして、執行部の御協力のもとこのような研究支援活動に研究者と共にチャレンジしていけたらと思います。

INDEXに戻る

【3】第7回人文・社会科学系研究推進フォーラム「人文・社会科学系研究が創造するイノベーション」参加報告

川人よし恵/大阪大学経営企画オフィスURA部門
jinsha-final.png

2022年3月7日、人文・社会科学系(以下、人社系)研究と産業界との連携に焦点を当てた第7回人文・社会科学系研究推進フォーラムが開催されました。このフォーラムは、人社系の研究にかかわる研究者やURA、事務系職員等が、よりよい研究推進のあり方をともに議論し、ともに行動することを目指して、2014年に発足したものです。フォーラムの企画・運営は、大阪大学を含む13大学の人社系担当URAの有志グループが関わり、いずれかの所属先が持ち回りで主催校となって行っています。7回目となる今回は、中央大学研究推進支援本部が主催されました。本稿では、フォーラムでの議論の一端および、人社系分野に関わるURA業務も担当する筆者がそれを聞いて感じたことを紹介します。

人社系のイノベーションへの貢献に期待が高まる

来賓挨拶では坂本修一氏(文部科学省大臣官房審議官)が「Society 5.0」、基調講演では原山優子氏(国立研究開発法人理化学研究所理事)が「科学技術・イノベーション基本法」「第6期科学技術・イノベーション基本計画」といった政策動向との関連付けから、それぞれ人社系分野への期待を述べました。両者のお話に共通して、人社系は自らの領域に閉じこもることなく他分野や異セクターともっと交流してほしい、というメッセージが感じられました。特に原山氏が、人の「未来を想像する力」がイノベーションを生み出していく社会・Society 5.0における新たな行動原理のキーワードとして、「共に」(価値観の共有、体験の共有)を挙げていたのが印象的でした。

人社系の産学連携の事例・経験の共有〜企業・NPO・自然科学系も交えた内向きでない議論

続く3人の講演者からは、自らの経験に基づき、人社系と産業界との共同研究・活動事例が報告されました。法学を専門とする岩隈道洋氏(中央大学国際情報学部教授)の報告は、国による法律の概念・内容の違いという、法学の研究を始めるに当たり知っておくべき基礎的な知識であっても、企業の海外進出など国境を越えた実務に役立つことがある、という内容でした。二番手の嶺竜治氏(日立製作所基礎研センター日立京大ラボ ラボ長代行主任研究員)は、日立京大ラボにおける人社系の産学連携活動を3タイプに類型化し、それぞれの具体例を紹介しました。その3タイプとは、企業で作りたい製品に対して人社系がアドバイスをする「アドバイザー型」、技術の社会実装について人社系研究者(哲学者など)が前提を問い直す「バリア型」、企業のソリューション化の⼒を活⽤して人社系の知を社会実装する「ソリューション型」でした。最後の講演者・西村勇也氏(NPO法人ミラツク代表)は、フィールドで集めた情報を蓄積・ツール化し、企業と共にイノベーションデザインに取り組む手法などに触れながら、人社系の価値の一つは盲点を見つけることで、新たな視点をもたらすことがイノベーションにつながると語りました。
後半のパネルディスカッションでは、緑川晶氏(中央大学文学部教授)がモデレーターとなり、原山氏、岩隈氏、嶺氏、西村氏が、研究評価やELSI、産業界から人文学へのニーズ、オープンイノベーションにおける秘密保持や知財などの課題、文化的背景が異なる人同士の対話、次世代の育成など、多岐にわたる議論を繰り広げました。

人社系の産学連携の経験値を「共に」高め、明るい未来につなげる

基調講演で原山氏が挙げた新たな行動原理「共に」は、特に人社系と産業界との連携に着目すると、その経験値はまだまだ十分でないと思われます。他方で、今回のフォーラムでは、そうした経験のある人社系研究者だけでなく、多様な立場の方々から自身の関わった事例が共有された点が非常に素晴らしいと感じました。限られた当事者だけで集まっても、往々にして議論が行き詰まりやすいものです。人社系研究者と企業関係者という両当事者に加え、間をつなぐNPO関係者や自然科学系研究者が一緒に事例を読み解いたり、今後の可能性についてアイデアを出し合ったりするという座組みは、多様な知恵の組み合わせが切り拓く明るい未来を期待させるものでした。
人社系の産学連携を発展させていく上で、より多くの人が自分ごととして捉え・関わっていくためには、"望ましい連携のあり方"のような概念レベルの議論に加えて、具体事例の蓄積も非常に重要だと思います。多様な立場の方々と人社系研究者が「共に」そうした事例を作ったり共有したり、更には検証したりするのが当たり前になれば、イノベーションの確率も高まって、もっと面白い・より良い社会になるのではないでしょうか。そんな未来を実現できるよう、自分もURAとして微力ながら貢献していきたいと思います。

INDEXに戻る

【4】JST 創発的研究支援事業 2022年度応募支援を始めました

「創発的研究支援事業 研究提案の募集<2022年度>」の時期(予定)が5月中旬〜7月中旬である旨、JST創発的研究支援事業のホームページに掲載されました。
https://www.jst.go.jp/souhatsu/call/index.html

※創発的研究支援事業は、2020年度に新規創設された事業で、研究提案募集は2022年度が最後の予定となっています。

2022年度の学内向けの応募支援メニューは、以下を予定しています。
(1)再チャレンジ応援セミナー |3月25日(金)9:00-10:00、オンライン開催→終了、講演部分は4月以降CLE公開予定
(2)創発事業 学内説明会|5月25日(水)16:00-17:00、オンライン開催
(3)提案書アドバイス・質問対応|4月中旬頃オンライン受付開始予定
(4)採択提案書の閲覧機会提供|4月~7月吹田/豊中キャンパスにて実施予定

それぞれの詳細についてはマイハンダイで決まり次第お知らせします。ぜひご活用ください。
http://osku.jp/m0187(学内限定・要ログイン)

INDEXに戻る


【5】URAスキル認定機構によるURAスキル認定制度が本格稼働します

2019年より、URA関係団体(リサーチ・アドミニストレーター協議会,研究大学コンソーシアム,学術研究懇談会,大学技術移転協議会,多能工型研究支援人材育成コンソーシアム,医療系産学連携ネットワーク協議会,科学技術振興機構)が検討を進めてきたURAスキル認定制度が、いよいよ今年4月から本格稼働します。

2022年度の制度概要・実施要項は公表以下のWebページで公表されていますので、関心のある方はぜひご確認ください。

https://www.crams.or.jp/training/

carms2022.png
2022年度の研修・認定審査スケジュール(URAスキル認定機構の研修実施要項より)

INDEXに戻る


【6】大阪大学URAだより--2022年1月~3月の主な活動例

●外部資金獲得前後の支援いろいろ

・JST創発的研究支援事業 採択者インタビュー実施、研究環境に関する課題等の抽出
JST創発的研究支援事業 2022年度応募支援開始
・大型科研費模擬ヒアリング実施
・JST共創の場形成支援プログラム 採択課題実施支援
・日本学術振興会「特別研究員申請書の書き方 コツとアドバイス」作成

●学内支援プログラムの運営・支援

英語論文の校正支援・オープンアクセス支援(FY 2021後期)

●URA連携

研究大学コンソーシアム 分野や機関の枠を超えた共同研究支援DX「MIRAI」プロジェクト参画
・第1回研究⼤学エグゼクティブ・フォーラム参加
・文部科学省研究大学強化促進事業シンポジウム「URA が活躍するための原動力と機能」参加

●学際研究テーマ創出支援

・SAKIGAKEクラブの異分野交流イベント実施
・理化学研究所「科学技術ハブ」共同研究プログラムのマッチング支援

●大型研究拠点の運営支援

量子生命研究センター(QIQB)
先導的学際研究機構 生命医科学融合フロンティア研究部門(iFremed)
先導的学際研究機構共生知能システム研究センター(SISReC)

●その他

・本部と部局の研究推進・支援業務担当者の情報共有や意見交換のためにURAミーティングを定例開催(2週間に1回)
・研究力強化施策の検討サポート
・各種学内会議・委員会への参画
・研究大学強化促進事業フォローアップ対応

INDEXに戻る


【7】大阪大学ホットトピック

●大阪大学が3位 -THE世界大学ランキング日本版2022-
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2022/03/25001

●大阪大学の活動基準(3月22日~)について
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2022/03/22001

●ウクライナ情勢に関して
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2022/03/100001

●「PROSPECTUS 2022」発行!
https://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2022/02/04001


●最新の研究の成果リリース



メールマガジンのバックナンバー一覧はこちら INDEXに戻る

【企画・編集・配信】

大阪大学経営企画オフィスURA部門(旧 研究支援部門)
担当:川人

◎配信停止やご意見・ご感想はこちらまで
http://osku.jp/v0842

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-1共創イノベーション棟 401
http://www.ura.osaka-u.ac.jp/

2022年3月31日(木) 更新
ページ担当者:川人