大阪大学 経営企画オフィス URA部門

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「平成31年度採用分JSPS特別研究員」模擬面接の模擬審査員 原 隆浩 教授

2019年1月16日(水) 公開

原 隆浩 教授
情報科学研究科 マルチメディア工学専攻
(専門分野:データ工学、モバイルコンピューティング)

「平成31年度採用分日本学術振興会(JSPS)特別研究員」模擬面接の模擬審査員をご担当いただいた原教授は、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業の一つであるCRESTの研究代表者であり、また、同事業のさきがけ・ACT-Iの領域アドバイザー(※)をはじめ様々な役割を担っていらっしゃいます。
このたび、原教授にJSTの領域アドバイザー、JST戦略的創造研究推進事業およびJSPS特別研究員事業への申請、本学における模擬ヒアリング・面接の改善について、お話を伺いました。

※ 戦略的創造研究推進事業(CREST・さきがけ・ACT-I)で、文部科学省が毎年度設定する戦略目標に基づき、設定される研究領域ごとに、10名程度任命される。各研究領域の研究総括の方針の下、当該研究領域の審査、運営、年2回程度実施される領域会議でのアドバイス・指導等の役割を担う。審査に留まらず、研究総括とともに、研究領域の基となる戦略目標達成に向けた運営を担っている。


<現在担当されるJST-さきがけ・ACT-I領域アドバイザーの実際とメリットなどについて>

―原先生は、JSTのさきがけ・ACT-Iの領域アドバイザーなど、国の競争的資金の審査員などのご経験が豊富ですが、ご自身にとってのメリットなどお聞かせいただけますでしょうか。

領域アドバイザーや審査員を経験することにより、自身がプレゼンする際に参考になることが多いです。若い人の発表からも説明や表現の仕方など勉強になることが多々あります。審査の経験は、自身が申請を行う際にも、申請書やプレゼンを客観視できるため、非常に有効だと思います。
また、JSTの領域アドバイザーには、様々な研究分野の中堅層トップグループの研究者が多く含まれており、いわゆる「とんがった」方々で構成されています。アドバイザー同士が、お互いをトッププレイヤーとして尊敬し、互いの研究や活躍を意識し合っています。これは自身がさらに成長するうえでも大きなメリットとなります。

―先生が現在所属されている領域のアドバイザーの先生方は、さきがけ採択経験者が多いということも聞いていますが、原先生ご自身はいかがでしょうか。

自分自身は、アドバイザーになる前に、さきがけやCRESTに申請した経験がほとんどありませんでした。(URA追記:今年度、CRESTの研究代表者となられている。)


<JST戦略的創造研究推進事業への申請について>

―先生の領域アドバイザーのご経験から、またご自身がCRESTに採択されたご経験も踏まえ、これから申請をされる方々にアドバイスなどいただけますでしょうか。

JSTなどの公募事業に申請する際は、審査員がどのような方々なのかを意識し、事業内容の詳細をよく確認することが重要です。
情報分野の公共事業において、特に申請者が若手研究者の場合は将来性を重視しています。また、申請者がよく勉強しているかどうかも見ます。例えば(提案書や面接などで)前向きな姿勢を示しても、企業でのインターン経験やコンテストでの受賞ばかりが目立ち、研究に腰を据えて取り組んでいない印象を持たれてしまうと、高く評価されない場合もあります。インターンやコンテストなどの経験があること自体はプラス材料ですが、研究もしっかりやっていることが求められます。
重要なポイントとしては、「誠実で、熱い」でしょうか。現在の研究内容が優れているということはもちろんですが、「発展性と将来性」も示して欲しいと思います。
ただ、やはり一番重要なのは研究の中身です。自立心をもって研究を進めているかが重要であり、自分自身が興味を持って研究していることや、やりたいことをきちんと表現できているかが大事です。また、自分の研究分野や周辺分野、社会を良くしようという想いも必要だと思います。

―戦略的創造研究推進事業では、提案書様式の最後に「その他特記事項」を記載する箇所がありますが、この箇所の記載についてはいかがでしょうか。

この欄は必ず有効に活用し、十分に「自己アピール」をして欲しいです。


<JSPS特別研究員事業への申請について>

―今回模擬審査員をお引き受けいただいた特別研究員事業については、これまでに先生の研究室でも多くの大学院生の方々が特別研究員への採用に至っておられます。申請にあたって、注意すべき点など教えていただけますでしょうか。

良い業績などを有している場合は、申請者の寄与部分を明確にする必要があります。本来良いものを持っているのに、伝わらないともったいないので。ただし、大きく見せ過ぎるとボロが出るので注意が必要です。
一方、特別研究員においても、これまでに良い業績を達成しているだけでは十分でなくなってきており、これから計画している研究内容について、審査側に興味を持ってもらえるように表現する必要があります。


<本学における模擬ヒアリング・面接について>

―模擬ヒアリング・面接は、学内の教員の方々に模擬審査員をお引き受けいただくことで成り立っています。しかし、お忙しい先生方に模擬審査員を引き受けていただくことについて、先生方は負担に感じられているのではないかと思うのですが。

私自身は負担とは思っていません。本学にとって有意義な活動なので、少しでも貢献できればと考えています。

―本学における模擬ヒアリング・面接の改善に向け、ご意見・コメントをいただけますでしょうか。

模擬審査員を担当していただいた先生方のリストなどがオープンになっていれば、外部資金を多く獲得している先生方が新たな申請を検討する際にも、意見を伺える方を探すためにそのリストを活用しようとするかもしれません。実際に、模擬審査員としては協力しても、有益なコメント等をもらえるかわからないため、自分自身は模擬ヒアリング・面接を利用しない先生方も多くおられるのではないかと思います。
また、模擬審査員を経験された教員からなる「審査会グループ」のようなものがあると良いのではないでしょうか。例えば、模擬審査員経験のある教員同士で模擬ヒアリング・面接期間終了ごとに議論して、模擬審査の質を良くしていくという感じです。また、懇親会を開催するのも良いと思います。教員同士の一体感を出すために有効だと考えられます。
そして、模擬審査員には、教授ばかりでなく、准教授クラスの先生方にももっと担当していただけると良いと思います。本学では、外部資金を多く獲得している准教授の方々も多くいらっしゃいますので、そのようなアクティビティの高い教員から協力を得られるのは良いことだと思います。

(2018年12月7日、インタビュアー:佐藤 祐一郎リサーチ・アドミニストレーター、
大屋 知子リサーチ・マネージャー) 

2019年1月17日(木) 更新