大阪大学の研究力を強化する
ご挨拶
西尾 章治郎
大阪大学 総長
大阪大学は、かねて大阪の地に根づいていた懐徳堂、適塾の市民精神を受け継ぎつつ、財界や市民の熱意ある活動の末、1931年に創設されました。こうした創設の経緯から、本学は、「地域に生き世界に伸びる」をモットーに、社会に進んで門戸を開き、その多様性の中で、人類の理想を実現せんと努力する有為な人材を輩出するとともに、しなやかに実直に普遍の真理を見極め、世界最先端の学術研究の成果を社会に還元し続けてきました。
第3期中期目標期間においては、「OU(Osaka University)ビジョン 2021」を打ち出し、このビジョンのもと、大阪大学が「社会変革に貢献する世界屈指のイノベーティブな大学」となるため、大学本来の自由な発想による研究の蓄積、人材育成を行いながら、その成果を社会で実装あるいは実践し、その過程で明確になった課題を再び大学に還元し教育研究を発展させて、知・人材・資金の好循環を生み出す「OUエコシステム」の確立をはじめとした「社会との共創」を実現するための礎を積み上げてきました。一方、指定国立大学制度の創設、国立大学法人ガバナンス・コードの策定など、さまざまな大学改革に係る施策が矢継ぎ早に行われ、国立大学を取り巻く環境は大きく変わりました。また、新型コロナウイルス感染症の克服や、カーボンニュートラル・SDGs の実現をはじめとした社会システムの大きな転換が求められる中で、大学での人材育成やイノベーション創出への社会からの期待が一層高まっています。
このような大きな社会変化に対応するために、大阪大学では、学内外の構成員、ステークホルダーとの意見交換を重ね、本学の中長期的な経営ビジョンとして「OUマスタープラン」を策定し、その実現に向けた第4期中期目標期間(2022年度~2027年度)における重点戦略及び主要取組を「OUマスタープラン2027」として取りまとめました。
「OUマスタープラン2027」においては、研究大学強化促進事業により整備し成果をあげてきたURAがなお一層活躍することを期待して「URA×IR活動の推進」、「全学URAネットワークを活用したURA及び事務職員による研究者支援」、「本部URAによる学際融合研究・共創活動・大型の研究プロジェクトの支援、省庁・FAへの提案支援等」を個別取組項目として明記しております。これは、大阪大学の中長期経営戦略にURAが明確に位置づけられていることを表します。
大阪大学における研究大学強化促進事業の取組は、これまで二度行われた評価(2015(平成27)年度フォローアップ、中間評価)の双方において最高のS評価を受けることができました。また、URAの整備による研究環境改革は着実に進展しました。研究大学強化促進事業は2022(令和4)年度に終了しますが、本事業で得た知見・資産を活用して研究力の更なる強化を図り、大阪大学は「生きがいを育む社会」を創造する大学を目指して、社会と共に前進してまいります。