大阪大学 経営企画オフィス URA×IR大阪大学 経営企画オフィス URA×IR

大阪大学経営企画オフィスに新しいメンバー(河合祐司リサーチ・マネージャー)が着任しました!

大阪大学URAメールマガジンvo.67掲載記事)

河合(かわい) 祐司(ゆうじ)/リサーチ・マネージャー、特任准教授

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大阪大学 大学院工学研究科 博士後期課程 修了、博士(工学)

2016年大阪大学工学研究科特任助教、2017年同研究科助教。2019年大阪大学先導的学際研究機構特任講師を経て、2020年4月に大阪大学経営企画オフィスURA部門に着任。大阪大学先導的学際研究機構附属共生知能システム研究センターの研究支援と推進に従事。人のような知能ロボット開発をとり巻く技術的・認知科学的・社会的課題に興味を持つ。

【ひとことメッセージ】

4月1より、大阪大学経営企画オフィスURA部門に着任しました河合祐司と申します。大阪大学先導的学際研究機構、特に共生知能システム研究センターの研究推進と支援業務を担います。これまでに私も同センターの研究者としていわゆる脳型人工知能や、自律型人工システムの心理的受容や倫理的・法的課題などの学際色の強い研究をしてまいりました。

新型コロナウィルスの世界的流行により表面化した公衆衛生と経済のジレンマは、細分化された人類の叡智を結集させる必要性をまざまざと感じさせます。2015年9月17日に出版された著名なトップジャーナルのNature (vol. 524, no. 7569) の表紙は一風変わったものでした。手術衣を着たヒーローや、頭脳に手を当てるヒーロー、円軌道に包まれた小さなヒーローなど各研究分野を象徴するアメコミ風のヒーローたちが同じ方向に駆けています。その特集の趣旨は社会が直面する課題を解決するためには、様々な分野の科学者と社会科学者が協働しなければならないというものでした。人間社会ではたらき、人間と共生する人工知能やロボットの開発においても、情報科学やセンサ・アクチュエータ開発などの理工学だけでなく、そのような人工システムが社会的に受容されるための認知心理学、倫理学、法学などの人文社会科学との協働が求められます。

しかし、確立した個々の学問分野を超えた学際研究を開拓するためには、多大な時間と労力の投資が必要になります。モナシュ大学のSustainable Development Instituteで水資源管理研究の指揮をとっているBrown教授らは、上記の特集において、自身らの学際研究の成果をハイインパクトな学術雑誌で発表するまでにおよそ5年かかり、10年以上の試行錯誤が続いていること述べた上で、学際研究を成功させるための以下の5つの原則を提案しています (Brown et al., Nature, 524(7569), 315-317, 2015)。
1. 共有ミッションの作成
2. 「T字型」の(垂直方向の個々の学問分野だけでなく、水平方向の他の学問分野にも精通した)研究者の育成
3. 建設的な対話
4. 制度的な支援
5. 研究、政策、実践の橋渡し

持続可能な学際研究には、異なる分野の研究者間のコミュニケーションや教育、長期的な視点での研究資金とキャリアパスの支援、社会との対話が必要になります。さらに、大阪大学先導的学際研究機構の「学際」は英語でinterdisciplinaryではなく、transdisciplinaryです。単に個々の研究領域をまたいだinterdisciplineから、「T字型」の研究者による新たな融合領域transdisciplineの創成を目指しています。先導的学際研究機構をそのような学際研究のヒーローたちの活躍する場にできるように、これから様々な活動を実施する所存です。

2021年8月24日(火) 更新
ページ担当者:川人