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URA MAIL MAGAZINE vol.47

「いよいよ大改革到来!科研費の季節」特集

2017年8月 発行

今年もちょっと早めに、科研費申請シーズン特集号をお届けします。

大きく変わりつつある科研費制度の動向や、大阪大学の科研費申請支援制度(日/英)、科研費論文でも推奨されているオープンアクセス化関連トピックなどのご紹介です。

■INDEX
  1. 科研費改革について-審査システム改革を中心に
  2. ご存知ですか?大阪大学の科研費申請支援制度いろいろ

    (Supports for KAKENHI application are available in English!)
  3. Nature Index 2017 Innovationで大阪大学が日本国内1位(世界31位)に!
  4. 大阪大学ホットトピック

    ●最終講義のご案内(工学研究科 山中伸介教授、8月31日)

    ●【申込受付中】ダイバーシティ教育研究環境実現シンポジウム(9月20日)~ロールモデルの多様化と理工系女性研究者の育成~

    ●【受付中!!】「大阪大学の集い in 名古屋」を9月23日(土・祝)に初開催!

    ○最新の研究の成果リリース
  5. 次号のお知らせ

【1】科研費改革について-審査システム改革を中心に

 一部の種目では2017年度から先行的に変更が実施されていますが、科学研究費助成事業(科研費)の審査の仕組みが2018年度公募(2017年秋実施)から大きく変更になります。このため日本学術振興会による各種説明会が開催されており、関西でも6月15日に関西学院大学において科研費改革説明会が開かれました。

 そこで本稿では、この説明会の内容を中心に情報を整理して読者の皆様に紹介しようと思います。例年通り9月1日から2018年度の科研費の公募が始まるところですので、申請に当たっての参考にしていただければと思います。


◆改革の背景

 科学技術・学術審議会学術分科会が2015年1月に発表した「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」において、さらなる科研費の有効活用の観点から科研費改革の必要性が指摘され、具体的な改革案やスケジュールを検討することが要請されました。日本学術振興会ではこの要請を受けて科研費の基本構造である系・分野・分科・細目表(以下、細目表)、審査区分、審査方式、種目等の見直しを行い、2016年3月に「科研費審査システム改革2018(報告)」として改革案をとりまとめました。その後パブリックコメントの意見を踏まえて科学技術・学術審議会と日本学術振興会で再審議が行われ、科研費改革の内容が決定されました。

◆改革のねらい

 科研費の細目は年々追加されてきており、約20年で1.5倍以上に増加しています。このことは研究分野の細分化と同時に古くからある研究分野の固定化をもたらしています。改革のねらいのひとつは、このような分野の細分化・固定化を是正して、新たな原理の探求や領域の創出を促すことにより我が国の研究力を高めることにあります。
 また、従来よりも広い審査区分を導入することにより、審査する側と審査される側がより広い分野を意識するようになり、狭い分野に閉じない新たな研究領域が創造されることが期待されています。

 以下では、2018年度からの変更点について具体的に紹介します。

◆審査区分について

 これまでの細目表は、4の系、14の分野、79の分科、321の細目で構成され、ひとつの細目にはひとつの分科、ひとつの分野、ひとつの系が対応してきました。2018年度からの審査区分は、11の大区分、65の中区分、306の小区分で構成されるようになり、複数の中区分や大区分に表れる小区分が存在するようになります。小区分は従来の細目を見直して設定されており、これまで醸成されてきた多様な学術に対応する審査区分になっています。また、小区分は「○○関連」、中区分は「○○およびその関連分野」、大区分はAからKの記号で表記されます。このような表記は各分野が固定化されたもの、限定されたものではないことを表しています。
 さらに、これまでは、すべての種目はまず細目において審査されてきましたが、2018年度からは種目によって異なる審査区分が適用になります。大型種目ほど大きな審査区分で審査されます。

種目ごとの審査区分

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◆審査方式について

 これまで、申請書は二段審査制(一段書面審査、二段合議審査、それぞれ別の審査員が実施)で審査されてきました。2018年度からは種目によって異なる審査方式が採用され、小区分の審査では二段階書面審査、中区分・大区分の審査では総合審査が行われます。

種目ごとの審査方式

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 二段階書面審査(小区分)では同一審査員による二段階の書面審査が実施され、ディスカッションによる合議審査は行われません。まず一段階目は、全審査員がすべての申請書を審査し、評点をつけ、内容についてコメントします。二段階目の審査では、他の審査員の評点・コメントを参考に自らの一段階目の審査結果の妥当性を確認して再度審査します。この審査方法により合議審査に近い効果が得られるとともに、会議体としての合議審査を実施しないことで効率的な審査を実現することができるようになります。このようにして二段階書面審査では、書面審査のみの審査結果に基づいて採択課題が決定されます。
 一方、総合審査(中区分・大区分)では、同一審査員により書面審査と合議審査が実施されます。最初にすべての審査員がすべての申請書を審査し、評点をつけ、内容についてコメントします。その後、書面審査の結果をもとにディスカッションが行われ、合議により採択課題が決定されます。合議の際には、評価の相違の意味や判断の妥当性についてすべての審査員が等しい立場で議論し、専門家の判断に任せない(責任を放棄しない)丁寧な審査が行われます。

◆応募者に求められるもの

 科研費の応募件数は年々増加してきており、新規申請件数は2016年度には10万件を超える規模になっています。同じ年度の新規採択率は26.4%で、第5期科学技術基本計画で目標としている30%には届いていない状況です。このような厳しい環境条件の中で、応募者は研究の目標、意義、独自性、創造性等の明確な主張をしなければならないのは当然ですが、それに加えて新しい審査区分を十分に認識した申請書の記述が求められるようにもなります。大型種目ほどより大きな区分で、専門分野もより広範な審査員に審査されますので、従来の細目に特化した申請書の書き方とは異なった書き方が必要になります。つまり今まで以上に、専門が異なる審査員にも理解しやすい、説得力のある申請書を作成する必要があるということです。

 また、新しい審査システムへの移行に伴って申請書(研究計画調書)の見直しも行われています。新しい申請書では、罫線・枠線が削除され、また、電子申請システムでの入力項目が増える予定ですので、適切な対応が求められるところです。

◆2018年度に変更になる種目

 若手種目のうち若手研究(A)は「基盤研究」に統合されます。基盤研究(B)等では39歳以下の採択率も高いため、若手研究(A)を獲得できる若手は他の世代の研究者と十分に競っていける状況にあるというのが統合の理由です。また、若手の定義が、これまでの39歳以下から、博士学位取得後8年未満に変更になります。なお、若手研究(A)が「基盤研究」に統合された経過措置として、基盤研究(B)等において、若手研究者を優先的に採択する仕組み(ボーダーライン上の場合若手を優先)を導入することが予定されています。
 特別推進研究については、従来の「国際的に高い評価を受けている研究をより一層推進」から「新しい学術をきりひらく真に優れた独自性のある研究をより一層推進」へと、挑戦性をより重視するように定義が変更になっています。また、多くの研究者に機会を与える観点から、同一研究者による受給は原則1回と複数受給が不可となっています。助成期間は現行の5年から最長7年と延長になっています。


 最後に、『科研費審査システム改革2018』の序文には、「この改革は、科研費の審査制度の不断の改善の一環である。したがって、一定期間後の再評価とともに、学術動向や研究環境の変化に応じて、適切に改革を進めるべきことを付け加える。」と記されています。今後、大学等を取り巻く環境は大きく変わっていくことが予想されますので、引き続き科学技術政策や科研費システムの動きに注目して適切な情報提供をしたいと思います。


(菊田 隆/大阪大学 経営企画オフィスURA部門)


【主な参考資料】
○科研費 平成30年度公募要領・計画調書
https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/03_keikaku/download.html

○「科研費審査システム改革2018」説明会当日資料等(文部科学省ウェブページ)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1370487.htm

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【2】ご存知ですか?大阪大学の科研費申請支援制度いろいろ
(Supports for KAKENHI application are available in English!)

もうじき科研費の平成30年度(2018年度)公募が始まります。

以下は、大阪大学の科研費申請に関する支援制度です(全て学内向け)。日本語・英語での相談員制度や英語での科研費説明がある「外国人研究者向け科研費説明会」など、多様なメニューがあります。

本学教職員の皆さんは、ぜひ一度詳しい情報をご確認ください。

No. 名称 主な対象
(全て学内向け)
時期(2017年) 概要
科学研究費助成事業学内説明会(日本語) 科研費申請を予定している研究者、科研費担当職員 【吹田地区】9月12日(火)14時~15時30分
【豊中地区】9月20日(水)14時~15時30分
科研費制度の概要、研究計画の書き方のポイント、科研費不正使用防止等についての説明。

【参考】科研費説明会参加登録フォーム(H29)(マイハンダイへのログインが必要)
外国人研究者向け科研費説明会(英語)

KAKENHI Information Session for OU International Researchers (in English)
本学の外国人研究者およびその支援者

OU International Researchers and their Supporters
8月25日(金)13時30分〜14時45分

Aug. 25th (Fri.), 2017 13:30-14:45
外国人研究者向けの科研費制度の概要説明およびアドバイス。

This Information session provides outline of the KAKENHI and suitable advice for applicants.

【Ref.】KAKENHI Information Session of FY2017's (Login to My Handai is required)



20140924_KAKENHIseminar.JPG

KAKENHI Seminar 24 Sep. 2014
Application Manual for the Grants-in-Aid for Scientific Research (KAKENHI) Program FY2018 edition 本学の外国人研究者およびその支援者

OU International Researchers and their Supporters
9月中旬ごろ公開予定

Available from Mid-September
外国人研究者およびその支援者向け、科研費英語申請のためのコンテンツ。

This manual provides a lot of useful information on the KAKENHI for international researchers.

科研費研究計画調書作成セミナー(日本語) 主に初めての科研費採択を目指す若手研究者(平成30年度科学研究費助成事業若手研究の応募予定者) 分野別に8月に実施済 科研費相談員およびURAによる科研費研究計画調書作成方法等についての講義。希望者にはURAによる個別アドバイス。

【Ref.】科研費研究計画調書作成セミナーの実施について(マイハンダイへのログインが必要)
科研費相談員制度(日・英)

Advisory System(Jp/En)
本学から科研費申請を予定している研究者

Applicants for KAKENHI
●第1回受付は終了



●第2回受付

9月1日~9月12日(コメント送信予定:9月26日)

[2nd Submittion Period]

Sep. 1st~Sep. 12th (Comments will be sent on Sep. 26th)



●第3回受付

9月12日~9月26日10:00(コメント送信予定: 10月11日)

[3rd Submittion Period]

Sep. 13th~Sep. 26th 10.a.m. (Comments will be sent on Oct. 11th)

科研費制度に精通した相談員が、研究計画調書に対するアドバイスを実施。

The applicants, such as young and core researchers, are able to consult with professors who are familiar with KAKENHI and the applicants' research field(s).

【参考】日本語ページ(マイハンダイへのログインが必要)

【Ref.】English page(Login to My Handai is required)
研究計画調書の事務チェック 学内締切までに電子申請システム上で提出され、かつ事務チェックを希望した研究計画調書 詳細は9月上旬頃に学内にお知らせ予定 応募前に、研究計画調書が公募要領に沿った書き方となっているか、希望者のみにチェックを実施
模擬ヒアリング 基盤研究(S)、特別推進研究、新学術領域研究のヒアリング審査対象者 ヒアリングの時期に応じて個別調整 大阪大学における競争的資金獲得増加のため、大型プロジェクトの審査等に対応した模擬ヒアリング・模擬面接を実施し、採択率向上を図るもの。大型科研費の他、日本学術振興会特別研究員等の面接・ヒアリング審査にも対応。

【参考】大阪大学経営企画オフィスURA部門ウェブページ
参考1 科研費に係るFAQの学内公開 科研費申請を予定している研究者、科研費担当職員 通年 <応募条件>

科研費の使用ルールや研究体制等について、よくある質問とその答えを学内向けに公開

【参考】科研費に係るFAQ(マイハンダイへのログインが必要)
参考2 研究計画調書 採択課題(記載例)の学内公開 科研費申請を予定している研究者、科研費担当職員 通年 分野・種目別に過去の採択課題の研究計画調書(記載例)を学内向けに公開。

【参考】研究計画調書 採択課題(記載例)(マイハンダイへのログインが必要)
【問い合わせ先 Contact】

①〜⑥および参考1・2:大阪大学 研究推進・産学連携部 研究推進課 学術研究推進係
  Research Promotion Division, Department of Research Promotion, Osaka University
TEL:06-6879-7033
E-mail:kensui-kensui-gakuzyutu@office.osaka-u.ac.jp

⑦:大阪大学 経営企画オフィスURA部門
  Research Management and Administration Section, Office of Management and Planning, Osaka University
内線:06-6879-4981
E-mail:ou-mogi@lserp.osaka-u.ac.jp

※上記以外、各部局独自の支援制度を設けている場合があります。詳しくは各部局の担当部署にご確認ください。

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【3】Nature Index 2017 Innovationで大阪大学が日本国内1位(世界31位)に!

 「Nature Index」は「2017 Innovation tables」において、大学、研究機関の研究の質と発明への影響度として、特許の論文引用をベースに評価したランキングを公表しました。その結果、大阪大学が、論文当たりの被引用件数では国内1位(世界全体 31 位)、被引用件数の総数では国内3位(世界26位)にランク付けされました。

 具体的には、大阪大学は、医薬品(Pharmaceutical)、生物工学(Biotechnology)、精密有機化学(Organic fine chemistry)の分野で、多くの特許の論文引用に貢献しています。

■Nature Index ホームページ
https://www.natureindex.com/supplements/nature-index-2017-
innovation/tables/top200-institutions-lens

■Natureのプレスリリース
http://www.natureasia.com/ja-jp/info/press-releases/detail/8676

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【4】大阪大学ホットトピック

最終講義のご案内(工学研究科 山中伸介教授、8月31日)

【申込受付中】ダイバーシティ教育研究環境実現シンポジウム(9月20日)~ロールモデルの多様化と理工系女性研究者の育成~

【受付中!!】「大阪大学の集い in 名古屋」を9月23日(土・祝)に初開催!


○最新の研究の成果リリース

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【5】次号のお知らせ(予告なく変更する可能性があります)

大阪大学の運営に関する新しいしくみ等について紹介します。

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2020年10月30日(金) 更新
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