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メールマガジン

URA MAIL MAGAZINE

URA MAIL MAGAZINE vol.55

「新装開店!」

2018年5月 発行

今年度から本メルマガを隔月発行に移行することになりました。
志も新たに、研究推進・支援に関する実用的な情報や先進事例・動向、オピニオン等を
発信してまいりますので、引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。

なお、隔月発行の理由は「ネタ切れ」と思われるかもしれませんが、
新たに着任/異動された教職員の方向け「阪大の研究支援情報の調べ方」、
デンマーク・オーフス大学による大阪大学URAオンサイトレビュー報告、
新任URA紹介、研究助成プログラムへの提言、
人社系のトップダウン型競争的資金応募支援のご案内など、
今号も盛りだくさんの内容でお届けします。

■INDEX
  1. 【学内向け】大阪大学の研究支援情報をウェブ上で効率的に調べるための目的別3つの方法―新たに着任・異動された教職員の方へ
  2. デンマーク・オーフス大学John Westensee氏による大阪大学URAオンサイトレビュー実施報告
  3. 大阪大学経営企画オフィスに新しいメンバー(尾瀬彩子リサーチ・アドミニストレーター)が着任しました!
  4. 大阪大学経営企画オフィスではURAを募集しています
  5. 分野振興から目的志向の研究助成プログラムの設定へ(「JFC VIEWS No.92」掲載)/福島杏子
  6. 【学内向け】平成30年度JSPS「実社会対応プログラム」提案に関する個別相談を実施します
  7. 【学内向け】JST平成30年度戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)提案に関する個別相談を実施します
  8. JST/ACT-I「情報と未来」1期生 成果発表会が開催されます(5月19日、東京)
  9. 平成29年度文部科学省委託調査事業「リサーチ・アドミニストレーターの質保証に向けた調査・分析」報告書が公開されました
  10. 2018年4月・5月の大阪大学URA
  11. 大阪大学ホットトピック
  12.  ○平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 8名が受賞しました!

     ○日独6大学ネットワーク(HeKKSaGOn)総会を大阪大学で開催、日独から200名近くが参加

     ○「研究者にとって研究とは---」大阪大学の研究者が自身の研究を語る記事を公開しました

     〇第13回大阪大学ホームカミングデイを開催しました

     ○最新の研究の成果リリース

【1】(学内向け)大阪大学の研究支援情報をウェブ上で効率的に調べるための目的別3つの方法―新たに着任・異動された教職員の方へ

(川人よし恵/大阪大学経営企画オフィス URA部門)

新しい職場、日々メールはたくさん届くけれど(便利な反面、送る方も送られる方も大変です)、大阪大学の研究支援情報にはまだまだアクセスできていない--そんな方に参考にしていただくことを想定し、主にウェブ上で効率的に大阪大学の研究支援情報を閲覧する主な方法について、3つの目的別にまとめてみました。


1.そもそも「大阪大学の研究支援情報」にはどんなものがあるのか、およそのところを把握する

●大阪大学公式サイト「研究支援情報を探す」
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/research/researchsupport
「1 研究をはじめる前に(研究公正の徹底)」「2 研究資金獲得支援」「3 多様な人材の活躍に向けて(若手・女性・外国人研究者、学際・融合的研究)」「4 国際的な研究の支援・研究成果の発信」の4カテゴリに分類された大阪大学の研究支援情報のリンク集です(リンク先の一部はマイハンダイへのログインが必要)。自分が知りたい情報だけでなく、知っておくべき情報について当たりをつけるのにも便利だと思われます。

特に、研究を遂行する上で大前提となる決まりや手続きについては、「1 研究をはじめる前に(研究公正の徹底)」(研究公正・不正使用防止/安全保障・輸出管理/ライフサイエンス関係の手続き)にまとめられていますので、必ずご確認ください!論文チェックツールへの学内リンクもここにあります。

researchsuppot_top.png
大阪大学公式サイト「研究支援情報を探す」(大阪大学研究支援情報の特設サイト)


2.特定の研究支援情報を一カ所でまとめてチェックする(担当部署も知る)
上記大阪大学公式サイト「研究支援情報を探す」からも一部リンクされていますが、特に重要だと思われる情報源を個別にご紹介します。

●学内公募・学内支援プログラムなど:マイハンダイ 大阪大学本部事務機構 研究推進関係 / About Research Promotion(研究推進部研究推進課)
https://my.osaka-u.ac.jp/admin/kensui
国際共同研究促進プログラム(国際ジョイントラボ)や国際合同会議助成事業などの学内助成、科研費申請に関する学内支援制度、実験に関する各種手続きなどがまとめて確認できます。重要な情報がたくさん掲載されていますので、ID・パスワード入力の手間を惜しまず、ログインしてみてください。以下の一覧表は、学内公募に加えて外部資金獲得支援の情報もまとめられているので、特におすすめです。
・(全般)平成30年度学内支援プログラム・説明会一覧(研究推進関係) / List of Internal Funds and Briefings(FY2018)
https://my.osaka-u.ac.jp/admin/kensui/xev64t

●科学研究費助成事業(研究推進部研究推進課学術研究推進係)
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/research/researchfunds/hojo
大阪大学の科研費申請支援に関する情報(マイハンダイにログインが必要)や、文部科学省/JSPS/e-Radの各ホームページへのリンクなどがあります。

●外部資金等公募情報(共創推進部産学共創課受託・共同研究係)
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/research/researchinfo
公的研究費や民間助成金等の公募情報が検索できるデータベースです。ログイン不要、誰でも利用できて便利ですが、データベースに登録されているのは大阪大学に寄せられた公募情報のみであることにご注意ください。ページ右上の方にある「期限・分野などで絞り込む」をクリックすると、詳細検索画面が表示されます。

●リサーチ・アドミニストレーター(URA)の個別対応等を伴う研究支援:大阪大学経営企画オフィスURA部門
URAが個別相談や各種コーディネーションといった対応を通じて取り組んでいる研究支援について、主に以下のページで紹介しています。
URAによる研究者支援 外部資金獲得
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/grantwriting/
【若手研究者・女性研究者・外国人研究者対象】平成30年度(前期)研究成果の国際的発信支援プログラム「英語論文の投稿支援(FY 2018前期)」/Publication Support for English Research Papers, FY2018 (First Half)
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/researchdissemination/H30_1st_PublicationSupport.html
その他、URAの研究支援等に関するお問い合わせは、以下のフォームからお気軽にどうぞ。
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/contact/

●企業との共同研究・知的財産・ベンチャー等の支援:大阪大学産学共創本部
「教職員の方」ページから、産学共創本部の支援の範囲を確認できます。
http://www.uic.osaka-u.ac.jp/target/staff/
企業との連携の仕組み(http://www.uic.osaka-u.ac.jp/target/staff/activity/)や大阪大学の研究成果の実用化を支援する「大阪大学Innovation Bridgeグラント」(http://www.uic.osaka-u.ac.jp/target/staff/service/)等、基本的な情報を把握したら、以下のお問合せフォームで具体的に相談してみてください。
http://www.uic.osaka-u.ac.jp/contact/
企業との共同研究や知財等に関する各種規定・様式はこちらでダウンロードできます。
http://www.uic.osaka-u.ac.jp/download/

●ライフイベント・女性研究者に対する支援:大阪大学男女協働推進センター
出産・育児・介護といったライフイベントに直面する研究者を対象にした研究支援員制度や、女性教員の活躍を応援する制度(女性教員をリーダーとする共同研究支援、女性研究者に対する英語論文投稿支援)、各種セミナーなどの情報が確認できます。
http://www.diver.danjo.osaka-u.ac.jp/info/
平成28年度科学技術人材育成費補助事業(文部科学省)「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」の関係で、一部の支援は自然科学系の助成研究者のみが対象となっています。

●アウトリーチ活動(研究成果公開活動)の支援:大阪大学21世紀懐徳堂
公開講座やサイエンスカフェ、プレスリリース等により、研究成果を広く社会に発信したい場合は、以下のページが参考になります。
http://21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp/outreach
個別のアウトリーチ活動についての相談は、以下のコンタクトフォームから受け付けています。
http://21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp/contact-info


3.その他、知っていると便利な情報をチェックする

●新任教員研修プログラム(H29.10.1以降の新規採用教員対象) 
平成29年10月1日以降に新規採用された講師、助教等を対象に、採用後3年間において30時間の研修受講が必須化されました。この新任教員研修制度についての詳しい情報は、以下のページから確認できます。(マイハンダイ)
https://my.osaka-u.ac.jp/admin/education/1xafyo

●全員受講が必要な教材例(いずれもマイハンダイ)
教職員対象 公的研究費の取り扱いに関する理解度チェック Quiz on
https://my.osaka-u.ac.jp/admin/preventing_misuse/guideline
全教職員対象 情報セキュリティ研修 e-learning
https://cle.koan.osaka-u.ac.jp/webapps/blackboard/content/listContent.jsp?course_id=_62431_1&content_id=_309856_1

●阪大公式素材集
名刺やパワーポイントのテンプレート、アクセスマップ、画像ライブラリなどを利用できます。(マイハンダイ)
https://owl.osaka-u.ac.jp/material

●eduroam利用申請
大学等教育研究機関の間でキャンパス無線LANの相互利用を実現する、 国際無線LANローミングサービスの申請方法が分かります。(マイハンダイ)
https://my.osaka-u.ac.jp/eduroam

●学事暦/学内連絡バス/食堂・売店等の案内
おまけとして、日々のスケジュールを立てる際の参考になりそうな情報をご紹介します。
キャンパス・カレンダー
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/campus/calender.html
学内連絡バス運行スケジュール
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/access/bus.html
食堂・売店等の案内
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/guide/student/general/welfare.html


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【2】デンマーク・オーフス大学John Westensee氏による大阪大学URAオンサイトレビュー実施報告

(高野誠・菊田隆・望月麻友美・岩崎琢哉/大阪大学 経営企画オフィスURA部門)

「これまでの延長では大阪大学のURAに成長はないだろう。ではどうすればよいのか」という問題意識を起点とし、2018年3月にデンマーク・オーフス大学Research Support and External Relations長のJohn Westensee氏をお招きして「大阪大学URAオンサイトレビュー」を実施しました。

約20年前にオーフス大学の研究支援活動を立ち上げ、現在は同大学Deputy university directorとして活躍されると同時に、デンマーク国内の、そして世界の研究支援職能団体を牽引しておられるWestensee氏から、私たちはどのような示唆を得たのでしょうか。URAに限らない研究力強化の広い機能と、私たち自身の活動のあり方を見直す機会となった3日間のオンサイトレビューの概要を、4人のURAが報告します。


実施の背景(高野誠)

大阪大学は、文部科学省の「リサーチ・アドミニストレーター(URA)を育成・確保するシステムの整備」(リサーチ・アドミニストレーションシステムの整備)事業(2012年度~2016年度)と「研究大学強化促進事業」(2013年度から10年間)を通して、URA体制の整備とその活用に努めてきました。

その結果、2017年度に行われた、リサーチ・アドミニストレーションシステムの整備事業の事後評価や研究大学強化促進事業の中間評価では高い評価を頂きました。これらの評価は大阪大学の研究支援に関するこれまでの取組の実績について評価頂いたものであり、その単純な延長に研究力強化を担う組織や活動の将来があるとは限らないと考えています。

では大阪大学における今後の研究支援の取組はどうあるべきなのでしょうか。

2017年度に我々経営企画オフィスURA部門のメンバーはそのような問いに対して幾つかの取組を行ってきました。URA部門のメンバーが集まり実施した「私たちの10年後の姿」というワークショップ、国内外のURA関連の会議等での調査や大学訪問調査などです。その訪問先を議論していた時に、我々と研究支援者間の交流があり(注)、4年前にも本学を訪れ、私たちの活動をよく知るデンマークのオーフス大学のJohn Westensee氏(以下、Westensee氏)に、過去から現在の活動の発展、現状や方向性を見て頂き、共に議論し、その結果を外部評価のような形で忌憚のないレビューにして頂けないだろうかと考えました。
そして3月の最終週に、Westensee氏による大阪大学URAオンサイトレビューを実施頂けることになりました。

(注:2013年11月に本学の事務職員とURAがオーフス大学を訪問(URA MAIL MAGAZINE vol.3)、2014年5月にはオーフス大学Research Support OfficeのディレクターWestensee氏と外部資金獲得支援チームリーダーのJakob Sørensen氏を大阪大学にお招きした、3日間にわたるセミナーを開催(URA MAIL MAGAZINE vol.9)。


オーフス大学John Westensee氏による大阪大学URAオンサイトレビューの概要(菊田隆)

我々がWestensee氏を招へいしたいと考えた理由は、Westensee氏の略歴をご紹介することにつながります。
Westensee氏は2002年にオーフス大学での研究支援組織(Research Support Office: 以下、RSO)を一人で立ち上げられました。そして現在RSOは28名を擁する組織にまで成長しています。前回お招きした2014年時点ではWestensee氏はRSOの長でしたが、現在はその一つ上の組織Research Support and External Relationsの長に昇格されており、総長、副総長と密なコミュニケーションを取られるなど、大学経営者に近い立場で活躍されています。また、Westensee氏はデンマークの研究支援人材の職能団体であるDARMA(Danish Association for Research Managers and Administrators)の発起人であり、また、米国の研究支援人材の職能団体であるSRA International(Society of Research Administrators International)の会長を北米以外の機関所属として初めて務められた方でもあります。

このように国際的な立場で研究支援業界を牽引してこられ、また、4年前の大阪大学URAの姿を直接知っておられる方に、現在の大阪大学のURAによる研究支援活動を見て頂くことは、今後の研究支援の取組はどうあるべきかを我々自身が考えるための貴重な示唆を得ることができるのではないか、という思いで以下のような3日間のスケジュールを企画しました(下表)。この企画に至るまでに、Westensee氏と大阪大学のURAとの間で多くのメールのやりとり、オンラインでのミーティング等を積み重ねました。

この内3日目の勉強会は、一部の学外の方にもご参加頂くことにしました。特に、リサーチ・アドミニストレータ協議会副会長の高橋真木子氏(金沢工業大学)にはパネルディスカッションのコメンテータを担当頂き、より高い視点から議論をリードして頂くことができました。なお、高橋氏は2015年にオーフス大学を訪問調査されており、それを東京農工大学中・上級者向け研究マネジメント人材養成プログラムの開発報告書にまとめておられます。

日程 実施内容
3月26日 午前:URA部門よりWestensee氏へレビューの概要、趣旨の説明

午後:URA部門員より業務説明と質疑応答(図1)
3月27日 午前:他大学URA、大阪大学研究支援関連事務職員、教員、URA等による勉強会「大学の「研究力」を高めるためにわたしたちができること -デンマーク・オーフス大学の事例から-」(図2)

午後:URA部門員よりトピック別の個別ディスカッション
3月27日 午前:大阪大学における研究力強化の機能およびURAの活動のあり方に関する、Westensee氏からの講評

午後:大阪大学幹部との懇談

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(写真左から 図1.1日目午後のディスカッション風景、図2.2日目午前中の勉強会風景)


オンサイトレビュー報告①勉強会「大学の「研究力」を高めるためにわたしたちができること -デンマーク・オーフス大学の事例から-」(2日目午後)(望月麻友美)

オンサイトレビュー2日目には、勉強会「大学の「研究力」を高めるためにわたしたちができること -デンマーク・オーフス大学の事例から-」を開催しました。学内外から24名が参加し、また、前述のように議論を進行させるにあたり、高橋真木子氏(金沢工業大学)にもコメンテータとしてご参加いただきました。

勉強会の前半では、オーフス大学と本学の研究支援の機能を紹介し合いました。大阪大学については、高野誠URA部門長より、本学における研究力強化とURA部門の取組について説明を行いました。また、本学内の部局を超えた研究力強化の取組として、基礎工学研究科広報企画推進室 藤原稔久氏より、豊中地区研究交流会の実施と運営・その意義を、研究推進者側・運営側の視点で紹介いただきました。次にWestensee氏より、オーフス大学の概要紹介とともに、研究力強化に向けてどのような機能をどのように展開しているかについて説明を受けました。会の後半では全体討論を行い、オーフス大学の研究力強化について理解を深めながら、URAを含めた大阪大学の取り組み、学内の所属を超えた大学の研究力強化がどうあるべきかについて考えていきました。

ここでは、Westensee氏の事例紹介とその後の議論を通して参加者で共有したオーフス大学の研究力強化とその機能の全体像をご紹介します。

オーフス大学も本学も、研究力強化の機能やそのポイントは、研究支援、研究推進、若手支援、産学連携、といった活動であり、共通項が多くあります。オーフス大学の特徴は、それらの研究力強化につながる機能が一つの組織にまとまっていて、且つ研究力強化、研究支援の範囲をさらに広くとらえていることにあります。具体的に紹介しますと、Westensee氏の率いるオーフス大学のResearch Support and External Relationsには、図3のように、「研究推進・研究支援」、「若手育成」、「産学連携」、「企画・広報」の4つの機能(部門)があります。この組織には本学の研究推進、産学連携、広報等の事務機構が担う様々な機能が含まれ、私たち大阪大学URAも「研究推進・支援」と、部分的に「若手育成」、「企画・広報」に当たる活動を実施しているようなイメージになります。オーフス大学では、研究力強化をするにあたり、研究推進・研究支援の顧客(エンドユーザー)は"大学において価値を生み出す者"、つまり研究者であるという方針が明確に打ち出され、彼らが活躍できる体制はなんであるかを考えた結果、現在の形に至ったそうです。研究者にとっては、研究活動の場面ごとに違う部署とやりとりするのではなく、あらゆる場面で一つの部署からサービスを受けることが可能になります。Westensee氏は、「私たちは、エンドユーザーが動きやすいように、いろいろな機能を統合した状態を作り、そこからサービスを提供しなければいけない立場にある」とコメントしていました。実際に4つの部門をまとめることは容易ではないそうで、長であるWestensee氏をはじめ部門スタッフは、内部でのコミュニケーションを大事に、4つの部門がうまく連携していけるのかを常に考えて活動しているとのことでした。

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(図3.オーフス大学のResearch Support and External Relations組織図)

また、今後更に研究力強化を進めていくためのオフィスやスタッフ像とは、以下のようなものだそうです。
・スタッフはプロフェッショナルとしての深化を目指す。例えば、研究支援・推進については、サービス提供者からアドバイザーへ、研究者とチームになることができる存在へ。
・オフィスは、4つの機能を物理的にも一か所に集め、本格的なシナジー効果を生み出す。
・このオフィスは常に新しい価値を生み出していくものであり、スタッフはアントレプレナー的意識を持ち、できることを試行錯誤していく。

筆者は勉強会を通して、大学で価値を生み出すのは誰かを考え、その集団のために必要な機能を揃えて提供することが自然であると感じました。私たち大阪大学のURAは、現在研究者や大学経営者等の複数の方向に研究力強化支援を展開しています。また、本学では、私たちを含む複数部署が研究に関連した機能を担っていて、それらをまとめることが簡単にできるわけではありません。Westensee氏は、「我々は事例の一つであり、自分の大学にとって最適な方法を探しだすことが重要だ」と言っています。

また、Westensee氏は、体制は解決法ではなく、どう働くかの方針であり、仕事を進める、成果を生み出すのはそこにいる人である。人と人がどのような関係を築き、仕事を進めることができているか、それが重要なのだと言っていました。研究力強化をするために本学にとって何が大事かということだと思いました。そして、現存の体制の中で、研究力強化の全体最適を目指すために、誰に向けたどんな仕事すべきかという整理や、部署間のあるいは部署を超えたスタッフ同士の連携をすすめる重要性を少しでも多くの関係者と共有したいと強く思いました。

最後に、今回の勉強会では、Westensee氏に投げかけながら、私たち自身も確認すべき問いがいくつかありました。ここにみなさんと共有し、それぞれが少しでも考える機会になればと思います。
・私たちのエンドユーザーは誰か。誰が大学の価値を生み出しているのか。
・大学にとっての研究の推進、強化とはどんなことなのか。
・組織の中では、その機能を誰が担い、どのような全体像になっているのか。
・その中で個人はどのように寄与していけるのか。
・誰と連携していける、いくべきか。
・人と人のつながり、誰が誰とつながっているのか。誰と話したら活動が進むのか。


オンサイトレビュー報告②個別トピックについてのディスカッション(2日目午後)(岩崎琢哉)

2日目の午後、個々のURAが関心のあるトピックについて、Westensee氏と個別ディスカッションを行った。ここでは、Westensee氏にお聞きした内容を基に、オーフス大学のResearch Support and External Relationsがおこなう4つのサービスのうち、「Events and Communication Support」について紹介する。

Events and Communication Support サービスの担当業務は、「Events(3.5人)」「Recruitment of students(3.5人)」「Communication Support(11人)」「Historian(1人)」に細分化される。(カッコ)内は担当者数で、各業務は正規雇用された <それぞれの業務内容を実行できる職能を持つ>専門職が行う。サービス全体は、Research Support and External Relations下における連携のもと、つまり(広義のPRの)専門職者といわゆる研究推進・研究支援者との協働で維持されているようだ。以下2点、個人的に重要と感じた点を述べる。

1.
学生(受験生)募集が「研究支援・研究推進にも関係する」重要な業務として位置付けられている(細分化メニューの2つ目、Recruitment of students)。「学生募集が大学の未来を決めると考えているのか?」という私の問いに対する Westensee氏の返答は「イエス」だった。研究支援という具体的な成果を求められる枠組みでの学生募集は、情報なしには計画すら出来ないから、オーフス大学の Recruitment of students の担当者は「学生募集と研究支援を結んで判断するための情報」にアクセスできるのだろう。憶測だが、どこの高校から来た学生が、オーフス大学で何を学び、卒業後は何をするのかというような情報があるから、目的に沿ったタスク群(戦略立案、キャンペーン実施、大学院生募集、留学生募集等々)を計画・実行し、アセスメントをふまえて改善できるのではないか。だとすれば、これは大学経営のレベルで学生募集と研究支援が一体のものとして稼働するように制御されていることを示していると考えられる。このような<情報>があるのか、あるとしてどのように集めているのか、学内にはほかに学生募集に責任を持つ部署があるのか、そことはどのように連携しているかなどに関心を持ったところで今回は時間切れとなった。

2.
Westensee氏によると、業務を担う専門職については、「どの人も大学をよく理解しているし、長く働いてもらっている」とのことである。これはおそらくオーフス大学が(広義のPRの)専門職について「大学の中にいて、大学をよく理解している人たちが必要である」と、過去何年間も考えてきたことの結果と受け止めてよいのではないか。徐々に人数を増やしたそうだから、オーフス大学は組織作りと人材育成を同時に進めたということだろう。高等教育についてバランスのよい理解があって、なおかつPRの実務が出来る(ある領域では現役として通用する力量がある)ような人たちの人材プールがあるとは考えづらいので、やはり育てるという判断になるのだろう。ではオーフス大学の研究支援チームのURA たちは、そんな彼らと研究支援の「何を、どんなストーリーで」ともに実行しているのだろう。言い換えると、研究支援チームの中の、バックグラウンドが異なる人たちを結ぶ信頼や協業の在り方の立脚点は何かということである。彼らが合意する「大学の未来にとって重要なこと」の順番があるのだろうか、それ以外に何か別の力学があるのだろうか。Westensee氏からは「知りたいことがあればいつでも連絡してください / 出せる資料は用意するから」と言っていただけた。幸せなことではあるが、私が彼らにとって<話す価値のある人物>とみなされるにはまず、(大学や研究支援にとって)何が必要でないかをしっかり見極めたうえで、意味のある仕事をしている必要がある。ここは継続して考える必要がある。


オンサイトレビュー報告③Westensee氏から大阪大学URAへのフィードバック(3日目)(高野誠)

1日目の大阪大学URAからの業務紹介及びWestensee氏とのディスカッション、2日目の大阪大学の事務職員を含む研究支援業務従事者や他大学のURA等とのディスカッションを通じてWestensee氏に大阪大学URAの活動概要を把握して頂いた上で、3日目にWestensee氏より大阪大学のURAに対するフィードバックを頂きました。

冒頭、Westensee氏より、「大阪大学のURA活動は2014年から現在までに格段に進化しており、国内的に高く認知・評価されていることには納得感があり自信を持って良い」、とエールを送って頂いた上で、次のレベルに上がるためにすべきこととして、以下の重要な示唆を頂きました。

●大学の戦略をURAの戦略へ落とし込むこと
URAの活動の一つ一つは大学の戦略と明確に結びついている必要がある。そのために大学の戦略を正しく理解すること、その理解に基づいて、URAの活動に正しい優先度づけをすること、それにより大学の大きな目標達成にURAが寄与することができる。
●エンドユーザーである研究者と研究者との対話を大事にすること
大学の価値を生成しているのは研究者である。研究者との対話を通じて研究者が本当に必要なことを把握しそれを提供することが重要である。研究者との対話を通じてURAの活動の改善や新たな企画を作り出すことができる。
●「人」が重要
組織とは、どのように働くべきかを示す枠組みであり、解決法を与えてくれるものではない。取組やプロジェクトは複雑化が増し、様々な部署のスタッフ・役割が関与するようになると、人と人とのつながりがより大事になる。人と人から成果が生まれることを意識することが大事であろう。
●フットワークを軽く
新しい企画を作り続けることは重要。但し、その企画は小さなスケールで素早く試して、失敗したら取り下げる、というようにスピード感を持ってフットワークを軽く行わなければならない。

いずれの指摘も、Westensee氏のこれまでの経験を踏まえた具体例や、オーフス大学における実例を交えてご説明頂きました。これらの指摘それぞれは、大阪大学のURAがこれまで何となく感じていたことかもしれません。しかし、経験に裏打ちされた具体的な事例とともに指摘して頂いたことにより、知識としてそれを知っているだけでは不十分で、いかにしてその知識を実践に移すのか、という所が重要であると改めて気づかせてくれるものでした。そして、Westensee氏はそのような知識を実践に移す為に自身がどのような工夫を重ねたのかということに言及頂きました。


オンサイトレビューをふりかえって(望月麻友美・高野誠)

大阪大学のURAは日々の業務改善サイクルに加えて、文部科学省の補助事業による外部評価の結果を業務改善にいかして来ました。更に今回、Westensee氏を4年ぶりに本学に招聘し、大学の経営陣に近い視点から大阪大学のURAにとって多くの重要な示唆を頂きました。

3日間を通して特に印象に残ったことの一つに、「大学において価値を生み出す研究者が、自分たちのサービスのエンドユーザーである」という明確な方針のもとにすべての業務を設計・実施するという、オーフス大学Research Support and External Relationsの活動の一貫性のお話が挙げられます。私たち大阪大学経営企画オフィスURA部門では、部門ウェブサイトのトップページにある通り、サービスの直接的な受け手を意識した「研究者支援」「大学経営支援」「研究支援の高度化」という表現によって、自分たちの業務を分類しています。もちろん、最終的には「個々の研究者が力を発揮するために、私たちはどのような貢献ができるか」を考えていますが、上記のような表現による分類が、URAの業務の位置づけのあいまいさや、自分たちの進むべき方向感の確認しづらさの一因となっているのかもしれないと気づきました。どういった内容を言葉で表現し誰と共有するのか、一度立ち止まりじっくり考える必要がありそうです。

また、オーフス大学においては、エンドユーザーが価値を生み出すことができるよう、Research Support and External Relationsの中に必要な機能を集約していることから、全学的な研究力強化の方向性が感じられました。本学のそれに相当する機能は、個々の部署にばらばらに存在しています。私たちURAの機能、位置づけについて整理するとともに、他部署と結びついた研究力強化の全体像なくしては、URAの成長も、ひいては本学の研究力強化の発展も難しいものがあると思いました。URAが新しい組織から、大学の機能の一部に成長した今だからこそ、URAだけで考えていくことできる事の限界が一層みえてきたように思います。そこが私たちの成長への危機感を抱く理由の一つでもあったと思います。だからこそ、Westensee氏の指摘にもあったように、私たちURAは(そして他の関連部署も)、全体の研究力強化の機能(=研究戦略)のどこに位置しているのかが見えるようにすることが大切であると感じました。

こうした成果をいかに次のアクションに結びつけるのかが大阪大学のURAにとっての課題になります。「これまでの単純な延長ではない大阪大学のURAの将来」を創り上げるよう、3日間のオンサイトレビューを新たな知見を習得の機会に留めるのではなく、新たな活動の実践の端緒とするよう、URA一人ひとりが行動に反映していきたいと考えています。

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【3】大阪大学経営企画オフィスに新しいメンバー(尾瀬彩子リサーチ・アドミニストレーター)が着任しました!

尾瀬(おのせ) 彩子(あやこ)/リサーチ・アドミニストレーター、特任学術政策研究員

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英リーズ大学大学院 コミュニケーション学研究所 修士課程修了、修士(国際コミュニケーション)

修士課程では、パブリック・ディプロマシー(広報文化外交)の研究に従事。修了後、学術分野における国際賞の広報業務や、ASEAN諸国の学生交換業務に携わる。2018年4月、大阪大学経営企画オフィス着任。

【ひとことメッセージ】

4月1日に経営企画オフィスに着任しました尾瀬と申します。これまで広報や国際教育連携の観点から、アカデミアを支えてまいりました。この度ご縁をいただき、学部生時代を過ごした大阪大学にて、URAとして活動する機会をいただきました。これまでの経験を活かしながら、国際連携を軸に研究力強化に貢献できるよう、研鑽を重ねていきたいと考えております。どうぞよろしくお願い致します。

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【4】大阪大学経営企画オフィスではURAを募集しています Research Administrator (URA) Job Opening

■公募2
リサーチ・マネージャー(特任学術政策研究員(常勤))
またはチーフ・リサーチ・アドミニストレーター(特任学術政策研究員(常勤))
またはリサーチ・アドミニストレーター(特任学術政策研究員(常勤))
2名
2018年2月以降、毎月最終7日間応募書類受付。決定次第終了
Research Manager , Chief Research Administrator, or Research Administrator (Specially Appointed Academic Policy Researcher (Full-time))

詳しくはこちら/More information
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/aboutura/post_5.html

ご応募をお待ちしています!

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【5】分野振興から目的志向の研究助成プログラムの設定へ(公益財団法人助成財団センター発行のオピニオン誌「JFC VIEWS No.92」掲載記事)

(福島杏子/公益財団法人未来工学研究所 特別研究員、前 大阪大学経営企画オフィス チーフ・リサーチ・アドミニストレーター*1)

政府系の人文学・社会科学研究への研究助成事業

みなさんよくご存じの通り、国の研究資金はボトムアップ型、トップダウン型という表現をしていることが多く見られます。前者は科学研究費補助金(以下、科研費)を中心とした研究者の自由な発想に基づき提案を行うことができます。一方、後者は国が研究の枠組みやテーマをある程度設定し、その趣旨に沿った提案を研究者が行います。前者は、全分野の研究を対象としているものの、後者は、自然科学系研究を対象としているものがほとんどです。

2012年7月に文部科学省は「リスク社会の克服と知的社会の成熟に向けた人文学及び社会科学の振興について」という報告書を出しました。本報告書をまとめた委員会の委員をされ、以下に紹介をするシンポジウムの基調講演を務められた大竹文雄氏*2が、「東日本大震災の大きなショックに対して人文・社会科学者が十分に貢献できるのかということを考え、その反省を踏まえて、この報告書が書かれました」とシンポジウムの際に報告書が出された経緯について触れました。東日本大震災が発生した当時、政府系ファンディング機関に所属していた筆者は、大災害やそれを受けた混乱を前にして、学問はなにができるのかということについての苛立ちを抱えている官僚出身者や研究者などを間近に見ていたので、この報告書は人文学・社会科学研究の決意表明と受け取りました。

この報告書をもとに、2013年に日本学術振興会(JSPS)が「課題設定による先導的人文学・社会科学研究推進事業」を設置し「領域開拓プログラム」「実社会対応プログラム」「グローバル展開プログラム」という3つの研究公募プログラムを設定しました。各公募プログラムでは、公募を行う年度にそれぞれ研究テーマを事業委員会で設定して公募を行い、採択されたプロジェクトは基本的に3年間の研究を行います。

昨年度、「グローバル展開プログラム」が3年間の研究助成を終えたことから、その成果報告を中心にしたシンポジウム「人文学・社会科学研究振興に向けた制度設計・活用のこれから Research for Tomorrow's Society, Tomorrow for Younger Researchers」が2017年11月に開催されました。成果報告の側面を残しつつ、JSPSと大阪大学の共催、文部科学省の後援により人文学・社会科学研究振興を大きなテーマに掲げました*3。

シンポジウムでは、まず基調講演で、人文学・社会科学研究は、個人に利益をもたらすものではなく、社会全体としての選択・意思決定へ寄与することや仕組みがよりよくなるための「公共財」であるという指摘がありました。その後の議論の中では、社会が動こうとしている方向に「本当にそれでよいのか」と疑問を投げかける役目を人文学・社会科学研究は担っているという指摘がありました。また、社会がどうありたいのか、どうあるべきなのかという「創造性」が必要であり、その際には、人文学・社会科学研究や自然科学研究などの知見を組み合わせることが大切であるという指摘もありました。

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(写真:JSPS・大阪大学共催シンポジウム「人文学・社会科学研究振興に向けた制度設計・活用のこれから Research for Tomorrow's Society, Tomorrow for Younger Researchers」パネルディスカッション風景)

本シンポジウムは、人文学・社会科学研究振興に焦点をあてていたため、参加をした自然科学系の出席者からは、「理系も文系的視点をもちながら研究をすすめはじめているにもかかわらず、人文学・社会科学に閉じた話題で議論が進んでいる」という指摘もありました。学術研究の振興を深め、知識の奥行きが広がることに異論はありません。しかし、大学を含む研究機関や研究者は世の中で問題が起きたときに、どのように知識を提供すればよいのかを意識することが必要ではないかと感じました。

特に筆者は本シンポジウムで2点のことが気に留まりました。1点目は、先に述べたように政策の一環とし設定されたトップダウン型の研究資金であり、且つ社会的課題に取り組む研究助成事業は、特定の分野ではなく幅広い知識が必要です。つまり、人文・社会科学研究の振興に限った話ではなく、広く社会全体にかかわることではないかという点です。2点目は、本事業では公募における研究テーマ設定が、事業委員会という研究者コミュニティの中での提案・合議によって決められるという点です。大災害を前に人文学・社会科学研究に携わる人々はなにができるのかという問いからはじまった研究助成事業であるならば、研究課題テーマの設定こそ、学術界にとどまらない幅広いステークホルダーからの意見により決めることではないかと感じました。

民間助成財団は研究助成事業を通してなにを目指すのか

さて、日本の民間助成財団の状況にふれると、研究助成事業を行っている財団が多く、特に科学技術分野に対する支援の比率が大きいことは、助成財団センターが提供する「日本の助成財団の現状-事業形態および事業分野の検討」にも示されています*4,5。また筆者が各民間助成財団の公募プログラムを調べた経験から、多くの財団はある分野振興に寄与する研究助成を行っている印象を受けます。一方で、大学内で教員の話を聞くと、政府系研究助成事業を自身の研究の主要な財源と考えており、民間助成財団はその補完としてとらえている方が多くいます。例えば、「科研費が取れなかったので民間助成財団の助成を考えている」「民間助成財団への助成応募は、会議費などが必要なときに探す」など個々の教員が自身の事情にあわせて計画をしています。

日本における各財団の研究助成事業は政府系研究助成事業に比べると金額は大きくないので、科研費で行っている分野振興に類似した研究助成事業では、研究者にとって魅力あるものとして映りにくいでしょう。民間助成財団がその独自性を示すためには、財団の設立のミッションを基に社会が目指す姿がどのようなものかを改めて議論をし、その上で研究課題テーマを設定し、それを具現化するための研究計画を求めることが必要ではないでしょうか。目指す姿を設定する際には、多様な視点が含まれることを意識したプロセスをとることが必要だと思います。また、研究課題は必ずしも数十件を採択する必要がなく、目的を達成する見込みがあるならば、まとまった資金を提供するなどの柔軟な対応が政府系研究資金よりも可能ではないかと考えます。国が見落としている課題や、まだ世の中に顕在化していないテーマも民間助成財団だからこそ扱える研究課題テーマもあると思います。

各財団が独自の研究助成事業を設定していくためには、長らく言われていることではありますが、プログラム・オフィサーの育成もますます重要と感じます。これまで、民間助成財団の研究助成事業も学術の世界ばかりに閉じていたと言えるのではないでしょうか。たとえ小規模であったとしても、民間助成財団が研究助成を行った結果が社会的に影響を及ぼすかもしれません。自然災害に限らず社会に存在する、あるいはこれから起こり得る課題を解決するためには専門的な知識は欠かせませんが、専門的な知識だけでも解決できません。専門的な知識の蓄積をどのように再編集し、課題解決につなげるかを考えるためには様々な人のアイデアや知見が必要です。プログラム・オフィサーも課題解決の担い手、研究者、研究支援者等を束ねながら課題解決に寄与する仕組みを考えることができるのではないでしょうか。民間助成財団だけで研究助成事業について考えるのではなく、大学や研究機関を含む様々なステークホルダーと研究助成事業でとりあげる研究課題テーマについて対等に考えられる関係を築き、より社会にとっても意味のある結果を生みだす研究助成事業が育つことを期待しています。

*1:鳥谷真佐子,佐々木隆太 2015:「リサーチ・アドミニストレーターの役割と助成財団への期待」『JFC Views』No.85.
*2:科学技術・学術審議会学術分科会臨時委員/大阪大学社会経済研究所 教授
*3:シンポジウムのプログラムを参照.
https://www.jsps.go.jp/kadai/symposium/20171108-01.html
*4:「日本の助成財団の現状 -事業形態および事業分野の検討(2016年度調査結果)」(2017)を参照.http://www.jfc.or.jp/bunseki/b5/
*5:助成財団センター編 2007:『民間助成イノベーション:制度改革後の助成財団のビジョン』松籟社.

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【6】(学内向け)平成30年度JSPS「実社会対応プログラム」提案に関する個別相談を実施します

本学における上記事業への応募件数の増加と採択率の向上を目指して、経営企画オフィスURAが収集した情報を元に、5/9(水)~6/5(火)に個別相談を実施します。

今年度公募が行われる「実社会対応プログラム」は、現実の人間社会における問題の解決を志向する社会的貢献に向けた共同研究を推進するため、研究成果と実務を橋渡しできる者(「実務者」)の参画を得て分野間連携による共同研究を実施し、研究推進から成果発信までの研究者と実務者の連携を目指すものです。

同事業に関心のある、あるいは、提案を予定している大阪大学の研究者の方に、積極的にご活用いただければ幸いです。(学内限定)

詳しくは以下のページをご覧ください
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/grantsupport/20180501.html


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【7】(学内向け)JST平成30年度戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)提案に関する個別相談を実施します

本学における上記事業への応募件数の増加と採択率の向上を目指して、経営企画オフィスURAが収集した情報を元に、5/14(月)~6/1(金)に個別相談を実施します。

「社会技術研究開発」とは、社会における具体的問題の解決を通じ、国または社会技術研究開発センター(RISTEX)が定める目標等の達成を図ることで社会の安寧に資することを目的とする、いわゆる"トップダウン型"の競争的資金(委託研究契約)です。

学術的成果にとどまらず、実際の社会の課題解決に役立つこと(社会への実装)が求められるほか、人文・社会科学と自然科学との連携や産学官市民の参画、領域・プログラムのマネジメントチームや他の採択プロジェクトとの情報共有といった特徴が挙げられます。

同事業に関心のある、あるいは、提案を予定している大阪大学の研究者の方に、積極的にご活用いただければ幸いです。(学内限定)

詳しくはこちら
https://www.ura.osaka-u.ac.jp/grantsupport/20180509.html

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【8】JST/ACT-I「情報と未来」1期生 成果発表会が開催されます(JSTから情報をいただきました)

本年度のACT-I研究提案(5/29正午〆切)をご検討されている方、ACT-Iにご興味のある方にとって、ACT-Iの雰囲気や環境が直に感じ取れ、研究提案にあたっても参考になるイベントです。

●開催日時:2018年5月19日(土)10時~18時(9時30分受付開始)
     ※途中入退場可能
●開催場所:日本科学未来館 7階(https://www.miraikan.jst.go.jp/guide/route/
●プログラム等の詳細:https://www.jst.go.jp/kisoken/act-i/presentation2018/
●主催:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)
●参加費:無料
●定 員:300人
●参加申込:https://form.jst.go.jp/enquetes/act-i2018

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【9】平成29年度文部科学省委託調査事業「リサーチ・アドミニストレーターの質保証に向けた調査・分析」報告書が公開されました

大学等内におけるURAの好事例に関する事例集の作成を行うとともに、URAの活動に資するデータベース、質保証等について調査した報告書が、文部科学省ウェブサイト上で公開されました。

詳しくはこちら(文部科学省ウェブサイト)
http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/ura/detail/1403902.htm

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【10】2018年4月・5月の大阪大学URA

2018年4月・5月の大阪大学URAの活動案件のうち、主なものを紹介します。

●外部資金等の申請支援のシーズンです
・平成30年度科研費 新学術領域研究・基盤研究(S)模擬ヒアリングの実施
JST 平成30年度 CREST・さきがけ・ACT-I 研究提案支援:学内説明会開催、研究提案書作成支援
AMED-CREST、PRIME 平成30年度 研究提案支援:学内説明会開催、研究提案書作成支援
・JSPS海外特別研究員申請支援:申請書に対するアドバイス
JSPS特別研究員申請支援:申請書作成マニュアル(日・英)をマイハンダイで公開、申請書に対するアドバイス
・第9回(平成30年度)日本学術振興会育志賞に係る支援
JSPS 平成30年度 実社会対応プログラム応募支援:個別相談実施
JST 平成30年度 戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)提案支援:個別相談実施
・平成30年度世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)応募支援

●URAが窓口となり、学内支援プログラムを運営しています
平成30年度(前期)研究成果の国際的発信支援プログラム 英語論文の投稿支援(FY 2018前期)

●URAのアウトリーチ手法を他部局と共有しました
ナレッジキャピタル大学校「渦を知る,渦を使う」(大阪大学学術研究機構会議)
同 二頁だけの読書会『対話で創るこれからの「大学」』(大阪大学COデザインセンター)

●URA部門が所属する大阪大学経営企画オフィスホームページを公開しました
大阪大学経営企画オフィスホームページ/

●国内外のURAネットワークでの活動に参画しています
研究大学コンソーシアム(研究力分析の課題に関するタスクフォース担当)
欧州のURA国際会議EARMA2018のセッションを日欧のURA連携により実施しました
" Globalisation and Competitiveness as a Challenge for RMA's: Views from Europe and Japan"

●その他
・新任URA等を対象にした研修実施
・本部と部局の研究推進・支援業務担当者の情報共有や意見交換のためにURAミーティングを定例開催(2週間に1回)
・各種学内会議・委員会への参画
・研究大学強化促進事業 平成29年度実績報告書作成対応

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【11】大阪大学ホットトピック

平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 8名が受賞しました!

日独6大学ネットワーク(HeKKSaGOn)総会を大阪大学で開催、日独から200名近くが参加

「研究者にとって研究とは---」大阪大学の研究者が自身の研究を語る記事を公開しました

第13回大阪大学ホームカミングデイを開催しました


○最新の研究の成果リリース


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【企画・編集・配信】
大阪大学経営企画オフィスURA部門(旧 大型教育研究プロジェクト支援室)
川人

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〒565-0871 大阪府吹田市山田丘1-1 共創イノベーション棟401(2017年11月移転)
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2020年10月30日(金) 更新
ページ担当者:川人